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1992年10月、愛知芸術文化センターが建設された時、その設計コンセプトは<都市の門>
であった。愛知芸術文化センターが、この地域の文化的アイデンティティの拠り所となること、
そして同時に、この地域の文化創造の担い手となること。この言葉は、そうした愛知芸術文化
センターの目標であり、夢を表すものであった。
そして今年、開館10周年を迎えたこと、及び栄公園との連絡橋が完成することを
祝うために、記念事業が行われることになった。
この企画では、愛知芸術文化センターの2階デッキ屋外を会場に、連絡橋を越えて、
開館時の夢を再び宣言した。複合文化施設である愛知芸術文化センターの三つの要素―音楽・
舞台芸術・美術―が、それぞれの個性を主張しながら、共同してひとつの作品を生み出した。
愛知芸術文化センターを背に2階のデッキに設営された舞台上には左手にピアノ、
真中にドラムス、右手に画架が置かれ、日比野の描いた絵が、左上の巨大ガラスの壁面に
投影されるようになっている。デッキを埋めた観客の間から現れたミエは山下のピアノに
合わせて踊りながら舞台上に上がり、ピアノ、ドラムスとのそれぞれのコラボレーションを
楽しむ。途中、舞台上での着替えを挟み、大胆なビキニにサングラスといった出で立ちで
日比野とのお茶目なやりとりを行なう。
それらのシーンを日比野が描き、それがスクリーンに映し出され、またそれにピアノや
ドラムスが反応して、というように、優れたアーティストたちのコラボレーションは
飽きることなくいつまでもつながっていくかのように思われる。
最後はマリリン・モンローの格好をしたミエが10周年を祝う「ハッピー・バースデイ」
を謳って終わる。
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外観
日比野克彦によるライトアート
左より、ミエ・コッカムポー、日比野克彦、山下洋輔、植村昌弘
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