ハイビジョンオペラシアター 「影のない女」
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1993年11月3日(水)、4日(木)  各昼・夜の部 愛知県芸術劇場大ホール
上映作品:  「影のない女」 (平成4年11月愛知芸術文化センターにて収録
サヴァリッシュ指揮、市川猿之助演出、バイエルン国立歌劇場)

愛知芸術文化センターの開館一周年記念事業として、昨年大ホールの柿落しを飾った オペラ「影のない女」。その公演を収録したビデオを、同じ大ホールに世界最大級の 600インチのハイビジョン大画面をしつらえて、再現、上映した。

この上映会は、本公演を見逃した人のための、またオペラ入門者のための、申込制による 無料の催しだった。定員4000人のところ、予想をはるかに上回る6300人以上の応募があり、 この地域におけるオペラヘの関心の高さを感じさせた。

映像であるため、確かに本公演のように、立体的な舞台装置の転換や、生のオーケストラ 演奏、歌手の声などを楽しむわけにはいかない。しかし、ハイビジョンによる鮮明な映像は 期待されたとおりであり、音響も非常に良い状態にセッティングされていた。 さらに好評だったのは、字幕が読みやすく歌詞の内容が細かな部分まで理解できたこと、 歌手のアップや演出方法がわかるカメラワーク、上映の前に行われた都築正道氏 (音楽評論家) による解説であった。

ヨーロッパとは異なり、日本ではオペラの公演回数が少ない。 このような状況の下で、ハイビジョンによるオペラの上映は、オペラを楽しむ機会を 増やすことに貢献した。また、カメラワークにより見所をアップで見ることができ、 楽しめるという点で、とりわけ入門者がオペラに触れる好機であったといえるだろう。

映像だからこそ可能な手法を用い、芸術に親しむための新しい分野を開拓したこの催しは、 さまざまな手法を用いて、新しい芸術の紹介や普及につとめる文化情報センターに ふさわしい事業だったと言えよう。
(藤井明子)

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