20世紀のダンスの全貌を、英国ダンスの100年の歩みから振り返る上映会を開催した。英国に存在する
マーゴ・フォンテーン、ルドルフ・ヌレエフ等のスター・ダンサーや、バレエ・リュス、英国ロイヤル・バレエ等々、
日本初公開の映像を上映した。これにあわせ、20世紀最大のバレリーナであり、ロンドンでデビューを飾ったアンナ・パヴロワに
焦点を当てる特別企画も開催した。ここでは、日本人で初めてアンナ・パヴロワ賞を受賞した名古屋在住のバレリーナ、
越智久美子による初の『瀕死の白鳥』のデモンストレーションやパヴロワの代表作が連続して見られる『永遠のアンナ・パヴロワ』
(1924)の上映等、特別企画も組み込んだ。
4日間のプログラムとして、「20世紀の黎明」、「英国バレエの誕生」、「英国ロイヤル・バレエの振付家たち」、
「英国の3人のダンサーたち」、「英国のコンテンポラリー・ダンスの創始」、「ロンドン・コンテンポラリー・ダンス・シアター」、
「ダンス・ブーム」、「映像のために創られたダンス」と、期間をほぼ年代順に8つのテーマ設定をして上映を行った。なかでも
初日のパヴロワの特集上映は予想通りかなりの反響であり、その名を知っている老若男女が沢山訪れた。パヴロワは1922年に
日本に初来日したが、そのときに彼女のバレエを観た少女の中から、その後の日本を代表するバレリーナが生れている。その頃の
名バレリーナに対する憧憬の念に加えて、多くの映像が日本初公開であったことから、かなり遠方から足を運ばれた方もあった。
また、バレエ・リュスの最初の振付家であるミハイル・フォーキンが振付けた、パヴロワの代名詞ともいわれる『瀕死の白鳥』の
デモンストレーションは、越智久美子にとっても初挑戦の作品ということで、事前から話題にもなったが、想像以上の
素晴らしい出来であり、本格的なバレエを目の前で見ることのできた観客は感激を隠せないようだった。
後半は、英国のコンテンポラリー・ダンスを映像で紹介したが、英国のコンテンポラリー・ダンス・カンパニーは
ほとんど来日しておらず、どのようなアーティストが存在するかもあまり知られていないことから、これもまとまってみることのできる
初めての機会ということで、観客は英国のダンスについて興味をもち、大いに楽しんでいた。
(唐津絵理)
|