<第5回 アートフィルム・フェスティバル> |
2000年10月26日(木)−11月5日(日) アートスペースA |
フィルム提供・協力: |
名古屋アメリカン・センター、イメージフォーラム、
プラネット映画資料図書館、ミストラル ジャパン |
<講演会> |
2000年11月5日(日) アートスペースA |
講師: 松本俊夫 |
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「第5回アートフィルム・フェスティバル」は、愛知県美術館の企画展
「アメリカン・ドリームの世紀展」とも連動する形で、「アメリカ実験映画の回顧」を
メイン・プログラムとして構成した。アメリカの実験映画は、1940年代より胎動し、
50年代から70年代にかけて隆盛を迎える。60年代に「アンダーグラウンド映画」と呼ばれた
これらの作品は、社会的な流行現象として一大旋風を巻き起こすとともに、映像表現の
領域で、日本はもちろん、世界に多大な影響を及ぼした。
今日の実験映画の手法や方法論の直接的な源泉となったのはもちろんだが、今もカリスマ的
な人気を誇り、その作品がコマーシャル映像の手本とされたケネス・アンガーや、
ミュージック・ビデオの源流なったブルース・コナー、コンピュータ・グラフィックスに
先駆的に取り組んだジェイムス&ジョン・ホイットニー兄弟等、その影響が実に幅広かった
ことにも驚かされる。ここでは、70年代以降鑑賞機会が減少したこれら作品の国内にある
プリントを可能な限り集成し、その芸術的、映画的な真価を再考することを意図した。
中でも、最大の作家と評されたスタン・ブラッケージの代表作『DOG STAR MAN』完全版
(1961-64)の愛知初公開が、とりわけ話題を呼んだ。体系的な特集ということから、
観客の反応は予想を上回るものがあったが、それは、今日1960年代の検証が様々な領域で
進んでいる状況もさることながら、それ以上に、時代を経てもなお古びなかった作品自体の
クオリティの高さが呼び寄せたものといえるだろう。
他に、「アメリカン・ドリームの彼方へ」と題し、コメディ、SF、ミュージカル、
実験映画、アニメーションなど、アメリカ映画の主要なジャンルの源流をなす作品の
小特集や、第19回バンクーバー国際映画祭などに招待された和田淳子監督
『ボディドロップアスファルト』(2000)のアンコール上映も併せて行い、
プログラムに厚みをもたらした。
(越後谷卓司) |
ケネス・アンガー『花火』
ブルース・ベイリー『弥撤<ミサ>』
ブルース・コナー 『5時10分発ドリームランド行き』
(上3点写真提供:イメージフォーラム)
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<上映作品> |
●アメリカ実験映画の回顧
ケネス・アンガー 『花火』 Kenneth Anger "Fireworks " 1947, 15min |
ハリー・スミス 『初期抽象作品集』(#1-5, #7, #10)
Harry Smith "Early Abstractions"(#1-5, #7, #10) 1939-mid 1950's 23min |
スタン・ブラッケージ 『DOG STAR MAN』〈完全版〉
Stan Brakhage "DOG STAR MAN" 1961-64, 78min |
ジェームス・ホイットニー 『ラピス』 James Whitney "Lapis" 1966, 10min |
ブルース・ベイリー 『カストロ・ストリート』 Bruce Baillie "Castro Street" 1966, 10min |
ブルース・コナー 『A MOVIE』 Bruce Conner "A Movie" 1958, 12min |
ポール・シャリッツ 『T, O, U, C, H, I, N, G』 Paul Sharits "T,O,C,H,I,N,G" 1968, 12min |
ホリス・フランプトン 『ノスタルジア』 Hollis Frampton "Nostalgia" 1971, 36min ほか計64作品 |
●アメリカン・ドリームの彼方へプラネット映画資料図書館所蔵作品より
チャールズ・チャップリン 『チャップリンの移民』 Charles Chaplin "The Immigrant" 1917, 20min |
ハンス・リヒター 『金で買える夢』
Hans Richter "Dreams that Money can buy" 1946, 70min ほか計10作品 |
●愛知芸術文化センター・オリジナル映像作品アンコール
和田淳子 『ボディドロップアスファルト』
WADA Junko "BODY DROP ASPHALT"2000, 96min VTR ほか計3作品 |
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