「オリジナル映像作品」は、愛知芸術文化センター館内での上映を想定して制作する
ものだが、作品としての自律性を高め、館外での上映も可能なクオリティを目指している。
これまでにも国際映画祭における上映や受賞といった成果を上げているが、平成12年度は、
和田淳子監督『ボディドロップアスファルト』を筆頭に、過去に完成した作品も含め、
多くの上映機会を得ることが出来た。
まず、2000年7月9日-23日に東京・渋谷のアップリンク・ファクトリーで開催された
「90年代実験映像の一断面−愛知芸術文化センター・オリジナル映像作品(選)集」が
『ボディドロップアスファルト』のほか、 勅使川原三郎監督『T-CITY』など初期作品を
含む6本を一堂に集めた特集として特筆できる。館外におけるまとまった形の上映は、
1996年11月6日に高知県立近代美術館で行われた「美術館製作映画コレクション」以来の
機会となった。
映画祭への出品では、『ボディドロップアスファルト』の、第19回バンクーバー国際
映画祭(2000年9月22日−10月5日、カナダ)と第30回ロッテルダム国際映画祭(2001年
1月24日−2月4日、オランダ)への参加が挙げられる。高い評価と影響力を持つこの二つの
映画祭で上映機会を得たことの意義は大きく、ここでの紹介を機にさらに多くの映画祭や
企画上映からの招待を受ける結果につながった。その他、ダニエル・シュミット監督
『KAZUO OHNO』がモナコ・ダンス・フェスティバル(2000年12月13日−17日)での上映
プログラム「20世紀の主要なダンサーたち」に選出されたことも、作品の芸術的評価の
反映といえるだろう。
(越後谷卓司)
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