金徳洙
金徳洙
   現代音楽家シリーズ第8回    金徳洙講演会
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2001年6月22日(金)アートスペースA
  講師:  金徳洙

「現代音楽家シリーズ」の第8回は、韓国を代表する音楽家の1人、金徳洙 (キム・ドクス)にお願いした。彼は、1970年代に衰退の一途を辿りつつあった伝統芸を、 その伝統的なリズムや旋律をもとに、高度なパーカッション・アンサンブル「サムルノリ」 として現代に蘇らせた人物である。今や、サムルノリは韓国を代表する民族音楽と位置付け られている。日本でも何度もコンサートやワークショップが開催されているが、講演会は 初めてということで、多数の観客が集まった。

講演のタイトルは、「旅・芸・人―サムルノリの創造とその限りない可能性を求めて」 であった。彼は、まず、5歳の時から、放浪の芸人集団<男寺党(ナムサダン)>であった 父から音楽を教わり、<男寺党>の一員として音楽活動を始めた経験を語った。つまり彼の 音楽は、旅から始まったのであり、現在もサムルノリの演奏家として世界中を旅して まわっていると述べた。そのあと、サムルノリについて、用いる4つの楽器を実際に演奏 しながら、それらの打楽器が韓国の風土の中から生まれてきたものであること、音そのもの が自然を表していること、演奏のために世界中を訪れる中で様々な音楽に出会い、その中 から韓国のリズムが非常に優れているという認識を新たにしたこと、そのリズムをはじめ、 伝統を大切にしながら現代の状況に合わせて常に新しい音楽に挑戦しつづけていること、 などをエネルギッシュに語った。

金徳洙講演会風景

金徳洙講演会風景
金徳洙講演会風景

彼の講演は実体験に裏付けられたものであり、非常に分かりやすかった。 また1982年国連総会で行われたオーケストラとサムルノリとの共演の記録ビデオなど、 貴重な映像も鑑賞することが出来、あまりの迫力にビデオであるにも関わらず、上映後 拍手がわき起こったほどであった。このような新しい試みは、彼が幼少から西洋の音楽も 聴きながら育ったことによるものだと述べ、それぞれの民族の環境やその文化的な生活に 合わせて、長い時間をかけて培われ自分の世代まで伝えられた音楽は、新しい文化環境の 中では、更に新しい音楽として発展し続けるエネルギーがあるということを、そのまま 示していたと言えよう。

最後に質疑応答が行われ、金徳洙はその1つ1つに丁寧に回答し、まだまだ時間が あればと惜しまれた講演会であった。

(藤井明子)

撮影 : 怡土鉄夫

プロフィール

 金徳洙
幼少より父から音楽を教わる。5歳で放浪の芸人集団<男寺党(ナムサダン)>入団、"杖鼓(チャンゴ)の神童"の名を全国に とどろかせる。1978年ソウルでの初公演を経て、80年「サムルノリ」結成。当初グループ名として始まったサムルノリを演奏活動や ワークショップを通じて、韓国を代表する音楽ジャンルに育て上げた。95年国民勲章受賞。国立韓国芸術総合大学・伝統芸術院教授。


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