「現代音楽家シリーズ」の第8回は、韓国を代表する音楽家の1人、金徳洙
(キム・ドクス)にお願いした。彼は、1970年代に衰退の一途を辿りつつあった伝統芸を、
その伝統的なリズムや旋律をもとに、高度なパーカッション・アンサンブル「サムルノリ」
として現代に蘇らせた人物である。今や、サムルノリは韓国を代表する民族音楽と位置付け
られている。日本でも何度もコンサートやワークショップが開催されているが、講演会は
初めてということで、多数の観客が集まった。
講演のタイトルは、「旅・芸・人―サムルノリの創造とその限りない可能性を求めて」
であった。彼は、まず、5歳の時から、放浪の芸人集団<男寺党(ナムサダン)>であった
父から音楽を教わり、<男寺党>の一員として音楽活動を始めた経験を語った。つまり彼の
音楽は、旅から始まったのであり、現在もサムルノリの演奏家として世界中を旅して
まわっていると述べた。そのあと、サムルノリについて、用いる4つの楽器を実際に演奏
しながら、それらの打楽器が韓国の風土の中から生まれてきたものであること、音そのもの
が自然を表していること、演奏のために世界中を訪れる中で様々な音楽に出会い、その中
から韓国のリズムが非常に優れているという認識を新たにしたこと、そのリズムをはじめ、
伝統を大切にしながら現代の状況に合わせて常に新しい音楽に挑戦しつづけていること、
などをエネルギッシュに語った。
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