パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ『笑う男』
パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ
『笑う男』(1998)
  日本におけるイタリア年企画

  テーマ上映会
  「イタリア映画祭2001 『イタリア旅行』 90年代秀作選」
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テーマ上映会「イタリア映画祭2001」
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2001年5月30日(水)〜6月3日(日)  * 5日間開催 アートスペースA
  主催:  愛知芸術文化センター、朝日新聞社、イタリア・シネマ(イタリア映画海外普及協会)
  後援:  イタリア大使館、日本におけるイタリア年財団
  協力:  名古屋日伊協会、(財)国際文化交流推進協会(エース・ジャパン)

2001年は、1996年にイタリアで開催された「イタリアにおける日本年」の返礼として、 日本・イタリア両国政府の決定により「日本におけるイタリア年」とされ、イタリア政府が 中心となり、この国の文化・芸術を紹介する催しが大規模に開催された。各地で300以上の 催しが行われるが、この「イタリア映画祭2001」もその一環として開催されるものである。 なお、愛知芸術文化センターとしては他に、2002年2月−4月に開催する愛知県美術館の 「世界遺産ポンペイ展」が、「イタリア年」企画に数えられている。したがって この上映会は、センターの複合機能の発揮という点でも、一つの役割を果たしていたと いってもいいだろう。

イタリア映画は、サイレント映画時代の「イタリア史劇」や、第二次世界大戦後の 映画の革新となった「ネオリアリズモ」など、映画史に偉大な足跡を残している。 そして、ジャン=リュック・ゴダールが近作『ゴダールの映画史』(1988-98)において、 「アメリカによる映画の占有と、映画を作る何らかの画一的(ユニフォルム)なやり方に 抵抗したという意味での唯一の映画は、イタリア映画だった」と述べているように、 多くの世界の巨匠たちから敬意を表されてきた。しかしながら、イタリアを象徴する 巨匠フェデリコ・フェリーニの死後、日本での上映の機会は極端に減少しているのが 現状である。特に1980年代後半から登場した、インディペンデント系の新人たちの 紹介は遅れているといっていい。この「映画祭」では、日本では知られざるイタリア映画 の1990年代に焦点を当て、そのまとまった形での紹介を意図した。その上で、テーマ 「イタリア旅行」を設定し、生まれ故郷や特定の土地へのこだわりから作品を生み出して 行く傾向を持つ、この国独特の志向性を反映したプログラムを構成している。

マルコ・ベロッキオ『乳母』(1999)
 マルコ・ベロッキオ『乳母』(1999)


フランチェスカ・アルキブージ『目をつむって』(1994)
 フランチェスカ・アルキブージ『目をつむって』(1994)


マリオ・マルトーネ『戦争のリハーサル』(1998)
 マリオ・マルトーネ『戦争のリハーサル』(1998)

会場には、映画愛好家のみならず、イタリアという国への関心から映画鑑賞に足を 運ぶ者も少なくなく、まさに「イタリア旅行」感覚で映画祭を楽しんでいる様子が伺えた。 そのため、通常の上映会とはやや違った雰囲気が生じていたのが興味深い。5日間という 会期にもかかわらず、老若男女多くの観客が集まり、10作品全てを鑑賞した者もおり、 その熱心さが印象的であった。タヴィアーニ兄弟や、マルコ・ベロッキオといった 映画ファンには著名な重要作家の近作が上映されたことも喜ばしいが、 『戦争のリハーサル』(1998)のマリオ・マルトーネら、注目すべき若手作家が紹介 される機会となったのは重要といえるだろう。

(越後谷卓司)


<上映作品(全10作品)Films presented (10 films)>
  1. フランチェスカ・アルキブージ  『目をつむって』(1994)
  2. ヴィルマ・ラバーテ  『ぼくらの世代』(1996)
  3. シルヴィオ・ソルディーニ  『アクロバットの女たち』(1997)
  4. ロベルタ・トッレ  『死ぬほどターノ』(1997)
  5. マリオ・マルトーネ  『戦争のリハーサル』(1998)
  6. パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ  『笑う男』(1998)
  7. ルチアーノ・リガブエ  『ラジオフレッチャ』(1998)
  8. マルコ・ベロッキオ  『乳母』(1999)
  9. カルロ・マッツァクラーティ  『聖アントニオと盗人たち』(2000)
  10. エドアルド・ウィンスピア  『血の記憶』(2000)


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