CREMASTER 1
 * CREMASTER 1
  イベントーク特別篇:

  マシュー・バーニー 『クレマスター』 フィルム・サイクル
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2002年11月14日(木)〜16日(金) アートスペースA
協力: 清水敏男事務所  企画協力: 清水敏男+鈴木朋幸
* 「あいち芸術文化フェスタ2002」参加事業
『クレマスター』は、現代アメリカでひときわ輝くアーティスト、マシュー・バーニーが 自ら制作・脚本・監督する全5本からなるアート映画のシリーズである。 2002年5月、シリーズ最終作の『クレマスター3』が完成し、9年の歳月をかけて ようやく壮大な5部作の全貌が明らかになった。

『クレマスター』の上映はこれまで、 1都市2作品に制限され、愛知では2002年3月にシリーズの『1』と『5』を 上映しているが、この度のシリーズ完結を機に5作品すべてを上映することが可能となり、 この企画「マシュー・バーニー『クレマスター』フィルム・サイクル」の開催がようやく 実現したのである。これは、愛知芸術文化センター開館10周年の時期にふさわしいもの であったといえよう。

1999年の『クレマスター2』と最新作『クレマスター3』の日本未公開作を含む、 全5作品を通して鑑賞できる本企画は、壮大な『クレマスター』に一貫して流れる美学や テーマを目の当たりにする稀有な機会といえ、開催前から国内でも雑誌、新聞等、 様々なメディアでこの企画は取り上げられ、大変な話題となった。また『クレマスター』は 2002年夏から秋にかけ、東京、京都、高知でも上映されたが、いずれも『1』から『5』の タイトル順で、制作年代順に上映するのは愛知会場のみであった。 制作順の上映は、美術家のマシュー・バーニーが、テクニカルな面も含めて、 映像というメディアにどのように向き合っていったか、またこの作品をいかに思考し、 造形、構築していったか等をたどることでもあり、今回の上映をより意義深いものにした といえよう。

『クレマスター』は、上映機会が限定されていることから、その話題性に比して 実際に作品を鑑賞した者は少なく、上映をめぐる悲喜劇を指す「クレマスター伝説」 という言葉さえあるほどだが、今回の5本一挙上映は、3月の上映時にも増して人気が 加熱し「クレマスター旋風」と一部で囁かれるほどであった。 こうした一種の社会現象ともいえる熱気を反映してか、全国ネットで発売した前売券は 発売開始後2時間で完売、上映日には当日券を求めて朝から人の列が出来るほどであった。

* CREMASTER 2


* CREMASTER 3


* CREMASTER 3
映像による美術作品という、今日の芸術状況の最前線をタイムリーに切り取った 本企画は、文化情報センターならではのものといえ、愛知県美術館を有する 愛知芸術文化センターの、複合文化施設としての特色を際立たせるものとなった。 また、作家自身の手によるオブジェとパフォーマンスを映像によって融合させた ともいえる手法は、映像メディアを用いた新しい身体論といったニュアンスも色濃く、 広く今日的な関心を呼んだ。
(越後谷卓司)


■ CREMASTER 1 ■
Matthew Barney
CREMASTER 1. 1995
Production photograph
© 1995 Matthew Barney
photo: Michael James O'Brien
Courtesy Barbara Gladstone
■ CREMASTER 2 ■
Matthew Barney
CREMASTER 2. 1999
Production photograph
© 1999 Matthew Barney
photo: Michael James O'Brien
Courtesy Barbara Gladstone
■ CREMASTER 3 ■
Matthew Barney
CREMASTER 3. 2002
Production photograph
© 2002 Matthew Barney
photo: Chris Winget
Courtesy Barbara Gladstone

プロフィール

  マシュー・バーニー
1967年サンフランシスコ生まれ。名門イェール大学のフットボール特待生として入学し、 医学と美術を学ぶ。ファッション・モデルもしていたというルックスの持ち主。 1993年ヴェネチア・ビエンナーレ「ヨーロッパ2000賞」、1996年グッゲンハイム美術館 「ヒューゴ・ボス賞」を、ともに20代で受賞。2002年から2003年には、大規模な個展 「クレマスター・サイクル」を開催(ケルン・ルードヴィッヒ美術館/パリ市近代美術館 /ニューヨーク・グッゲンハイム美術館)。現代美術の世界だけでなく、 映画・音楽・ファッション界のクリエーターからも絶大な支持を得る現代アメリカの 新しいヒーローである。
上映プログラム
11月14日(木)
『クレマスター4』1994年/アメリカ/カラー/35mm/42分/1:1.37/ドルビーSR
『クレマスター1』1995年/アメリカ/カラー/35mm/40分/1:1.37/ドルビーSR
11月15日(金)
『クレマスター5』1997年/アメリカ/カラー/35mm/54分/1:1.85/ドルビーSR
『クレマスター2』1999年/アメリカ/カラー/35mm/79分/1:1.66/ドルビーSR
11月16日(土)
『クレマスター3』2002年/アメリカ/カラー/35mm/182分/1:1.66/SRD
全作品とも、脚本・監督:マシュー・バーニー / 制作:バーバラ・グラッドストーン、マシュー・バーニー /
撮影:ペーター・シュトリートマン / 音楽:ジョナサン・ベプラー; 『クレマスター4』 のみ制作:アルタンジェル、カルティエ財団、バーバラ・グラッドストーン / プロデューサー:マシュー・バーニー、ジェイムズ・リングウッド
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