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「愛知芸術文化センター・オリジナル映像作品」は、今日、芸術のみならず、哲学や
思想の領域でも高い関心が寄せられている「身体」をテーマに設定した、実験的な
映像作品を自主制作するプログラムである。開館以来、これまでに一年に一本のペースで
継続的に作品を制作しており、公立の文化施設では日本国内に類例のない企画として、
その試みのユニークさと作品の質の高さから全国的にも注目を集めている。
映像というメディアの特性を考慮し、「オリジナル映像作品」は館外での上映にも
積極的に取り組んでいる。これまでの作品は、いずれも映像芸術の新しい可能性を切り拓く
意欲作として評価を得、国内はもちろん、国際映画祭や企画上映会への出品など海外での
上映機会も少なくない。なかでも平成5年度制作の天野天街監督『トワイライツ』
(1994年)や、平成11年度制作の和田淳子監督『ボディドロップアスファルト』
(2000年)は、国際映画祭での受賞という成果を挙げている。
本シリーズ作品の、海外の映画祭への出品は2002年も引き続き活発に行われ、
平成12年度制作の石田尚志監督『フーガの技法』(2001年)は、「第8回メディア・シティ
国際映画祭」(2月13日〜20日開催、カナダ・ウィンザー)や、
「ヴァイパー国際フィルム/ビデオ&ニュー・メディア・フェスティバル2002」
(10月23日〜27日開催、スイス・バーゼル)などで上映されている。
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「第3回チョンジュ国際映画祭」(4月26日〜5月2日開催、韓国)では、
「実験アニメーション、過去と現在」と題するプログラムで、オスカー・フィッシンガー
やレン・ライといったこの分野の先駆者たちの作品と共に上映され、
「第27回トロント国際映画祭」(9月5日〜14日、カナダ)では、「波長」
プログラムにおいて、ジョナス・メカスやスタン・ブラッケージら実験映画の巨匠たちの
作品との上映が行われたことは、特筆してよいだろう。平成13年度制作の白川幸司監督
『眠る右手を』(2002年)も、愛知でのプレミエ上映(8月11日)から程なく、
「第21回バンクーバー国際映画祭」(9月26日〜10月11日開催、カナダ)
への出品を果たしている。
シリーズ通算12本目となる平成14年度は、国際映画祭への数多くの出品歴を持ち、
映画にとっての音とは何か”を最も考える映画作家として高い評価を得ている、
帯谷有理が監督を担当。帯谷の企画『サイケデリック・オルガン・パンダ』は、
映画それ自体を身体としてアナロジカルにとらえる独創性と、作家が“場面代理人”
と呼称する、観客と映画内の登場人物を結びつける、過去の映画史において類例を
みないアイディアを提示したことなどが高く評価され、作家選定委員会において選出された。
本作は平成15年年度中に初公開を予定。身障者の身体パフォーマーである福森慶之介の出演や、
身体と空間との関係を考慮した、帯谷独自の音楽演奏シーンの映像化など、ジャンルを
越えた関心が寄せられるだろう。
(越後谷卓司)
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プロフィール |
帯谷有理 (映画作家) |
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1964年生れ、神奈川県鎌倉市出身。現代音楽の作曲、音響のコンセプトを扱った美術作品の
発表などを経て、1992年に制作した8ミリ映画『毛髪歌劇』で翌年の「第12回バンクーバー
国際映画祭」にて国際デビュー。以降、最新作の『アホの原チャリ娘』シリーズ
(1999年〜)まで、これ迄に国内外でのべ100以上の映画祭、特集上映が作品を招待。
“映画にとっての音とは何か”を最も考える映画作家として高い評価を得ている。
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スタッフ ・ キャスト |
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監督・編集 : 帯谷有理 |
原案・構成 : 帯谷有理 |
撮影 : 与那覇政之 |
録音・音響 : 帯谷有理 |
助監督 : 加世田靖弘、山ア樹一郎、木村文洋 |
音楽・美術・衣装 : 帯谷有理 |
出演 : 福森慶之介、安部まりか、菅沼クロード、白井昭吾 他 |
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