|
愛知芸術文化センターが企画・実施してきた事業群の中で、ひとつの特徴的な取り組みは、
その複合性を活かした「異ジャンル間のコラボレーション」であり、この取り組みは
地域の芸術活動に刺激を与えてきたと考えられる。この企画は、NPO「2005演劇ネットワーク」
が、愛知芸術文化センターのそうした取り組みに敬意を表し、開館10周年をともに祝うための
事業として企画したジャズとトーク&ラップ、そしてダンスによる即興コラボレーションである。
この企画では、ジャズの山下洋輔とダンスのユーリ・ンによる、一対一のコラボレーション
を基調としながら、さらにコラボレーションを行う上で最も重要となる、<コミュニケーション>
という要素を際立たせる意図からラジオを加えた。
マスメディアであるラジオは、通常わずか数百人の、それも同じ会場に集まっている人々の間の
コミュニケーションに使われることはない。しかし言うまでもなく、ラジオも舞台芸術も、
何かを伝え、表現し、人と人とのコミュニケーションを果たすメディアである、という考え
からこの公演の観客には、一人一台ずつ、FMラジオを持ってきてもらい、ラジオを通して、
観客にも公演に参加してもらうことにした。
つまり、今回のコラボレーションでは、ジャズ・ピアニストの山下洋輔とダンサー
ユーリ・ン、DJのアーチという、いずれも優れたアーティストの真剣勝負とも言える
一対一のやり取りの中に、敢えてラジオというマスメディアを介在させることによって、
アーティストどうしのコミュニケーション、そしてアーティストと観客とのコミュニケーション
が、いかに重要であるかを提示したいと考えた。
|
山下洋輔、ユーリ・ン
山下洋輔、ユーリ・ン、DJ ARCHE
ユーリ・ン
|