1993年12月16日(木) 19:00 愛知県芸術劇場大ホール
出演者: 勅使川原三郎、 宮田佳、 山口小夜子ほか
<関連企画>
「勅使川原三郎ダンスフィルム上映会」 1993年9月16日(木) 19:00 アートスペースA
プログラム: 「T-CITY」 「ケシオコ」 「NOIJECT」ほか
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勅使川原三郎と彼の率いるKARASによる「NOIJECT」の上演は、
ミュンヘンにて新しく生まれ変わって最初の日本公演となった。
現在、勅使川原三郎はコンテンポラリー・ダンスの重要人物の一人として、
世界的にその名を知られている。日本の舞踏が世界中で高い評価を得ているなか、
これまで優れた新しいダンスは誕生せず、このような日本において、
彼の存在は稀有ともいえる。
文化情報センターの「身体」テーマ事業の一環として昨年度行われた「山海塾公演」は、
多くの観客に共感を得るものとなったが、身体を表現手段とする舞台芸術のなかで、
山海塾が人間の本質に向かって、つまり生の起源へと回帰していくのに対して、
勅使川原のダンスは常に前に進もうとする強い意志を秘めている。
彼は感情の表現手段としての身体ではなく、身体とそれを取り囲むすべての要素を、
自立した個々の存在として、未経験の世界へと飛び込む。
山海塾公演から丸一年、今回はその対極ともいえる作品を上演し、孤独のなかでもなお、
現在という時間を常に先へと、強靱に未来に立ち向かう勅使川原の「身体」を、
そしてその彼の生み出す空気を、この劇場のなかに実現させたかった。
今回、勅使川原の作品のなかでも完成度の極めて高い「NOIJECT」を選択したことにより、
彼の屹立した「身体」がさらに浮き彫りにされ、その凄さを再び確認できたことは
喜ばしいことであった。観客にとっても「NOIJECT」での初めての体験は、
「身体」の前に果てしなく続く未来への大きなエネルギーとなったに違いない。
(唐津絵理)
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Photo:南部辰雄 |
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