1993年7月6日(火) 19:00 愛知県芸術劇場小ホール
演奏者: |
バラネスク・カルテット
アレクサンダー・バラネスク(第1ヴァイオリン)、 クレア・コナーズ(第2ヴァイオリン)
ビル・ホークス(ヴィオラ)、 ニック・クーパー(チェロ)
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演奏曲: |
G.シェルシ「弦楽四重奏曲」(1964)、 J.ケージ「4部の弦楽四重奏曲」(1955)
M.ナイマン「弦楽四重奏曲第2番」(1988) ほか
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思想的・技法的にインドから影響を受けて今世紀に作曲された音楽を紹介し、
「現代の音楽」の広がりの一端に触れる機会を提供すること、それがこのコンサートの
目的だった。
プログラムは、響きの上で直接的にインドを連想させる作品と、そして心象あるいは
幻想のインドを描いた作品から構成された。演奏を行ったのは、1987年に結成されて以来、
幅広いレパートリーと痛烈な音色で知られるバラネスク・カルテットである。
彼らは、楽器にピックアップマイクを取り付け、スピーカーを通してロックのような音量で、
ジョン・ケージやジャチント・シェルシらのいわゆる「現代音楽」作品を演奏した。
この演奏スタイルがコンサートの印象を決定したといえる。
つまり、「インドに影響を受けて作曲された現代音楽作品」は、堅苦しいイメージを払拭し、
現代音楽を敬遠しがちだった若者の心を捉えた。彼らの音楽は、リーダーのバラネスクが
自らの信念として語った次の言葉に集約される。
すなわち、「ジャンルを越えた広い視野をもち、ダンスや体の動きと結びついた音楽、
たとえば民族音楽のように人間の全て、肉体も感情もそして知性も巻き込む演奏」
であった。
(藤井明子)
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アレクサンダー・バラネスク
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Photo: 加藤弘一 |
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