吉田喜重 監督
 吉田喜重 ドキュメンタリー映像の世界
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1993年10月19日(火)〜31日(日) アートスペースA
上映作品:  『愛知の民俗芸能−聖なる祭り 芸能する心−』1992年 31分
『愛知の民俗芸能−都市の祭り 芸能する歓び−』1993年 29分
『美の美』シリーズ1974〜77年 各23分
『BlG-1物語 王貞治』1977年 85分
『アンデス美の巡礼』1979年 30分
『狂言師・三宅藤九郎』1984年 32分

<講演会>
1993年10月30日(土)  講師: 筒井武文(映画監督)
1993年10月31日(日)  講師: 吉田喜重(映画監督)

映画監督として著名な吉田喜重の、知られざるもう一つの側面であるドキュメンタリー作品に 光を当てた上映会である。
愛知県が企画した記録ビデオ作品『愛知の民俗芸能−聖なる祭り 芸能する心−』(92)、『同一都市の祭り 芸能する歓び−』(93)2部作の完成に合わせた催し でもあり、美術ドキュメンタリー『美の美』シリーズ(74〜77)以降の主要な作品を集成した 個展形式による特集上映であった。

彼は、劇映画(フィクション)と記録映画(ドキュメンタリー)の間に境界線を引かず、 この2つのジャンルのどちらもが「映像を通して何かを表現すること」において違いはない、 という立場に立っている。その方法論は、まず、対象となる素材を制作された当時の 時代・環境にできる限り戻して撮影するという、徹底したリアリズムの追求が挙げられる。

それと同時に、過去の時代に属する対象を現代の視点から眺め、積極的な「読み替え」 を行い、さらには、この2つの時間軸を交錯させてゆく。構造主義との関連も見い出せる こうした実験的アプローチは、「映像」メディアの本質を追求し、その表現の可能性を 切り開いてゆく彼独自の試みである。

上映作品のうち『美の美』シリーズの約半分は、横浜美術館所蔵のニュープリントであり、 良好なコンディションでの上映は、その先鋭的な撮影技法を知るうえで特筆すべき機会で あったといえよう。 
(越後谷卓司)
『愛知の民俗芸能
−聖なる祭り 芸能する心−』

『愛知の民俗芸能
−都市の祭り 芸能する歓び−』

『幕末に生きる−中岡慎太郎』

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