ガムラン・メッセージ レクチャー&コンサート
「ガムランの道〜横浜ボートシアターの世界」
前へ
自主企画事業報告書
>
1994年度
>
レクチャー&コンサート「ガムランの道
〜横浜ボートシアターの世界」
次へ
1994年7月16日(土) 17:00 愛知県芸術劇場小ホール
出演:
遠藤啄郎
横浜ボートシアター
(入野智江、橘 政愛、玉寄長政、富田美行、吉川ゆう子、野村朋子、増田美穂、木村秀行)
世界に広がり変容した現代のガムランの可能性を感じ取ってもらうことをねらいとし、 日本の劇団「横浜ボートシアター」のレクチャーとコンサートを行った。
ガムランは世界の多くの作曲家の注目を集めているが、彼らの興味は専ら音楽の様式や 楽器の音色にある。それに対し、横浜ボートシアターは、作曲家たちのアプローチとは 異なり、むしろ現地インドネシアで音楽と舞踊や演劇がともにあるように、ガムランを 取り入れた音楽劇という方法で活動を行っている。
彼らは、インドネシアのなかでも特にバリ島のガムラン楽器やそこからヒントを得た 自作楽器の生演奏をバックに、台詞と歌を織りまぜながら演じる。 独創的な仮面も注目すべきものである。このスタイルにより、彼らは、バリ島特有の 物憂い闇と日本の中世の説話にみられる闇があいまった不思議な時空間を、代表作 「小栗判官・照手姫」で完成させた。
今回のレクチャー&コンサートでは、まず前半に、劇団の代表者であり演出家である 遠藤啄郎が講演を行った。演出家自らによる仮面や楽器についての丁寧な説明は、 彼らがガムランとそれを取り巻く芸術からインスピレーションを得て生み出した "日本のガムラン"のひとつのスタイルを浮き彫りにした。
後半は「小栗判官・照手姫」から音楽を中心にした小公演が行われ、音楽の部分を 凝縮させた公演では彼らの舞台のエッセンスが味わえた。 今回、完全な形での演劇公演が行えなかった点では残念であったが、公演を観るのとは 異なる方向から、新しい現代ガムランの世界を理解できたと考える。
(藤井明子)
Photo : 都築秀俊
前へ
このページのトップへ
次へ