ガムラン・メッセージ レクチャー&コンサート
「透明な風のガムラン〜ルー・ハリソンの世界」
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1994年度
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レクチャー&コンサート「透明な風の
ガムラン〜ルー・ハリソンの世界」
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1994年7月20日(水) 19:00 愛知県芸術劇場小ホール
出演:
藤枝 守
アンサンブル・トゥデイ
村田四朗(フルート) 、和泉正憲(打楽器) 、酒井康雄(ギター)、
大竹倫代(ヴァイオリン) 、 栗本洋子(ピアノ)
演奏曲:
「アリアドネ」1978、「セレナーデ」1988 、「ヴァリッド・トリオ」1986
世界に広がり変容したガムランの特筆すべきもうひとつの姿として、独自のガムラン曲を 作曲した、アメリカ西海岸で活躍を続けるルー・ハリソンの音楽を、講演と作品の演奏に よって紹介した。
ハリソンはジョン・ケージ亡き後、アメリカ実験音楽界で最も重要な作曲家の一人である。 世界の様々な音楽に対して真の意味で偏見を持たず、あくまでも美しい音楽を追求する彼は、 伝統的なガムランのために、また自作したガムラン楽器のために、いくつもの作品を 書いている。
ここではまず、前半に、作曲家でありアメリカの現代音楽に詳しい藤枝守が講演を行った。 後半に演奏を行うので、講演のなかでは音資料は使わなかったが、ハリソン本人と親しい 藤枝は、さまざまなエピソードも交えながら、彼の「超民族音楽的」音楽への志向を軸に、 ガムラン楽器を用いない作品から自作ガムラン製作まで、その活動を詳しく紹介した。 そして後半は、彼の音楽の特徴が最もよく表れた作品の演奏を、名古屋で現代曲を積極的に 取り上げてきたアンサンブル・トゥデイが演奏した。
3曲ともパーカッションが多様に活躍する曲で、ガムラン楽器は用いないが、旋律やリズムの 点でハリソンの創り出すガムランを彷佛とさせる曲である。特に「ヴァリッド・トリオ」は 茶碗やフライパンを用い、現代音楽の難解なイメージを払拭する楽しい演奏だった。
4日前に行われた横浜ボートシアターと、今回のハリソンのレクチャー&コンサートを 続けて聴くことで、多様なスタイルのガムランを、楽しみながら知ることができたと思う。
(藤井明子)
Photo : 都築秀俊
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