ダンス・ルネッサンス

  レスキスダンス公演 「WELCOME TO PARADISE」
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   レスキスダンス公演
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1994年9月17日(土) 19:00  愛知県芸術劇場大ホール
振付・出演: ジョエル・ブーヴィエ、レジス・オバディア
<上映会> 「レスキス・ダンスフィルム上映会」
 1994年8月31目(水)、9月1目(木)  アートスペースA
 プログラム: 『LA NOCE』('91)、『LA LAMPE』('90) など
「からだの復活、人間の復活」を唱え、3ヶ月間に渡って開催された 「ダンス・ルネッサンス」。
そのメイン公演として、大ホールで行われたレスキス によるコンテンポラリー・ダンス公演。

フランスのヌーヴェル・ダンスは今や単なる一国の芸術ではなく、固有のジャンルを 確立したようにみえる。愛、暴力、といった人間の本質を容赦なく突きつけ、観客を 翻弄していくこれらのグループのなかでも、ブーヴィエ(女)とオバディア(男)の レスキスは、一定して独自のスタイルを保ち続けている。 今回上演した『WELCOME TO PARADISE』は、レスキス結成メンバーによるデュオ作品であり、 まさにこのグループの本質を体感できる作品であった。

黒のマントを纏い、ゆっくりとはじまる前半の出会いのシーン。 ヒッチコックの映像にインスピレーションを得たというこの作品は、モノトーンを基調とし、 静かに始まる前半から、次第に速度を上げて進んでいく。激しい抱擁、向き合い佇む2人。 鳴り響く鐘の音はこれから起こる悲劇を、そしてまき散らされ高く舞い上がる白い粉は、 男女の愛の破滅を予感させる。広すぎる会場とも感じられたが、 2500席収容の大ホールに僅か2人で挑み、観客の目を引きつけ続けるエネルギーの持続力は、 成熟したテクニックと、緻密な構成に裏打ちされてこそ成立可能なものだということを、 彼らは十分に証明してくれた。


レスキスは映像制作にも取り組み、ダンス作品と並び高い評価を受けているが、 彼らの強靱な身体はスクリーンを通しても変わらず、いやなお一層輝きを増している ように感じられた。公演当日は2人のダンスに続いて、"La chambre"、"Letreinte"が 上映された。また本公演のプレ・イベントとして、"La noce""La lamp"を上映した。
(唐津絵理)
Photo : 木之下晃

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