『 KAZUO OHNO 』
監督: ダニエル・シュミット / 撮影: レナート・ベルタ / 出演: 大野一雄、大野チエ
フォーマット: 35mmフィルム、15分、カラー、日本・スイス合作、1995年作品
<完成記念上映会>
1994年5月12日(金)〜14日(日) アートスペースA
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『KAZUO OHNO』は、愛知芸術文化センター企画による「オリジナル映像作品」
の第4弾である。
本作は、監督に幻想的な作風で知られるスイスの映画監督ダニエル・シュミットを迎えた、
日本を代表する舞踏家・大野一雄のドキュメンタリー作品であり、この両者にとって
最初のコラボレーションといえる。
「オリジナル映像作品」は、「身体」あるいは「身体性」を基本コンセプトとして設定し、
『T-CITY』(平成4年度制作、監督:勅使川原三郎)や、『トワイライツ』
(平成5年度制作、監督:天野天街)などの作品を生み出してきた。
これら身体表現に携わるアーティストによる最初の映像作品に引き続き、
今回は映像作家と舞踏家とのコラボレーションという、シリーズとしては初めての
試みであり、また新らたな方向性への展開も意図した作品となった。
ヨーロッパを代表する名カメラマン、レナート・ベルタの移動撮影を主体とした流麗な
カメラ・ワークは、舞踏家が舞台上でのみ生み出すであろう空気感、空気のふるえ、
ざわめきを捉えるとともに、主なロケ地である東京・晴海埠頭の空間的な特性を
活かし切って、現実とも虚構ともつかぬ、陶酔するような夢魔的映像世界を現出させる。
この作品は、単なる説明的なドキュメンタリーを越え、「生と死」や「男と女」など
テーマ的に多様な側面を含んだアート・フィルムとして、高い完成度を示すもの
といえるだろう。
(越後谷卓司)
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Photo : 樫部孝史
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