日韓音楽祭
前へ 自主企画事業報告書 > 1995年度 > 日韓音楽祭 次へ
1995年 7月29日(土) 、30日(日)   愛知県芸術劇場大ホール
このコンサートは、「日韓現代美術展」に関連して企画した総合芸術祭の試み、 「Human Collaboration'95」の中核となる事業である。 日本と韓国の伝統音楽の真髄を同時に聞き比べる機会を設け、さらに、両国の音楽家たち が共同で現代にふさわしい新しい音楽を創出し、エネルギーに満ちた演奏を行うことが、 このコンサートの趣旨だった。

音楽事業としては、これまでにも、現代の音楽として、今に息づく伝統音楽・民族音楽と、 それらに関わりながら創り出される現代音楽を紹介してきたが、今回は新しく音楽を創る ことに主眼を置いた。

コンサートの構成は、日韓打楽器の競演の第1部から始まり、第2部・第3部で韓国・日本の それぞれの伝統音楽、そして第4部フィナーレは出会いの祭りとしてジャズを交えての セッションという4部構成だったが、そのうち第1部および4部の音楽が両国の音楽家に より創られた。

約1年前から出演するミュージシャン達が決定された。日本側では渡辺香津美および 仙波清彦、韓国側では李太白と、出演しなかったが金徳洙が中心となり、日本側が 韓国に出かけたり、テープのやりとりを通して、曲の基本イメージを創っていった。 そして、公演の4日前から音楽家たちは名古屋に集まり、長時間の熱のこもった リハーサルを通じて仕上げを行った。音楽を創ること自体が互いの国の文化と人間を知る という真の国際交流だった。
<第1部: プロローグ>
着到〜祭囃子
サムルノリ
祭囃子とサムルノリの共演

<第2部: 韓国の伝統音楽>
1. 散調合奏とシナウィ、サルプリ舞
2. 清声曲
3. パンソリ(春香歌のうち「サラン歌」)
4. 僧舞と竹風流
5. 東海バダ(東海の海)(創作曲)

<第3部: 邦楽 "勧進帳">

<第4部: 出会いの祭り>
1. ペンノレ
2. チャンダン組曲
3. 新ペンノレ
4. 津軽山歌〜ホーハイ節
5. 巫俗舞(オージョンクッ)
6. トゥハナ(即興)
7. フィーナーレ

<アンコール> アリラン
 
当日の演奏では彼らのエネルギーが爆発した。それぞれの伝統音楽の良さとともに、 新しく創られた音楽のエネルギーやテンションは観客にも強烈な印象を与えた。 音楽を聴くことが、バフォーマーとの交感であったことを思い出させる瞬間が生まれた。 そして、アーティストと観客の双方にとって、日本と韓国の伝統音楽、あるいはジャズ といったジャンルの枠を、決して軽視はせず、しかし囚われることなく越えて、 自分白身を再発見する機会となった。
(藤井明子)

出演: 安 聖雨(テグム)、李 太白(アジェン)、鄭 會元 (テグム)、徐 永浩(アジェン)、 金 裁栄(ピリ、ホジョク)、姜 垠一(ヘグム)、徐 永勲(ピリ)、金 星娥(ヘグム)、 文 京雅(カヤグム)、李 廷珠(コムンゴ)、 元 完哲(チャンゴ)、金 京淑(ソリ)、金 廷a(ソリ)、金 利恵(舞踊)、金 旻政(舞踊)、
サムルノリ「チンセェ」:
  (金 福萬(ケンガリ)、金 m洙(チャンゴ)、吉 其ト(プク)、李 倫求(チン))
渡辺香津美(ギター)、仙波清彦(太鼓・鉦)、山下洋輔(ピアノ)、梅津和時(サックス)、林 英哲(太鼓)、竹井 誠(笛)、木下伸市(津軽三味線)、佐藤一憲(太鼓)、植村昌弘(太鼓)、田中 顕(太鼓)、木津茂理(唄・太鼓)、木津かおり(唄・鉦他)

立唄: 杵屋喜三郎
唄: 杵屋六昶、杵屋吉之亟、杵屋直吉(30日)、杵屋六七郎、杵屋六昶a(29日)
立三昧線: 杵屋五三郎
三味線: 杵屋彌四郎、杵屋五吉郎、杵屋五英治
上調子: 杵屋五三寿郎
立鼓: 仙波宏祐
小鼓: 仙波清彦(30日)、仙波大明、仙波和典、仙波 顕(29日)
大鼓: 住田長十郎
笛: 中川善雄
かげ囃子: 望月太八次郎、仙波 顕(30日のみ)、仙波昌弘、仙波宏香(29日)

<関連企画  シナウィ・コンサート>
7月23日(日)14:00〜15:00   会場:名古屋市美術館講堂

「日韓現代美術展」の会場でも、韓国の伝統的な器楽 "シナウィ"と、サルプリ舞の公演を行った。
Photo : 南部辰雄

前へ このページのトップへ 次へ