「フィリピンふんどし 日本の夏」
監督・撮影・出演: キドラット・タヒミック
16mmフィルム、39分、カラー、日本・フィリピン合作、1996年作品
愛知芸術文化センター・オリジナル映像作品第5弾。この企画は、「身体」を基本コンセプト
にすえ、さらにここから派生する様々な概念も視野に入れた、短編映像作品の制作事業で、
1年に1作品をぺースに、シリーズとしての継続的な展開を行っている。
いわば、短編オムニバス形式にのっとり「映像による身体論」を形成する試みであるが、
これまでに舞踊家・勅使川原三郎や劇作家・演出家の天野天街など、身体表現に携わる
アーティストの初めての映像作品の実現や、映画監督・ダニエル・シュミットと舞踏家・
大野一雄のコラボレーション作品の制作などの実績を積み重ねている。
こうした経緯を受けて、今回は、映像作家でありパフォーマンスも行うキドラット・
タヒミックを登用し、映像と身体との関係を、過去の作品にはない別の側面から照らし
出すことを意図した。これは、アジア人にとっての身体概念や、身体観の提示という
観点のシリーズヘの導入を考慮したものでもある。
作品は、タヒミック独自のアンチ・ハリウッド的な視点から、過去何回かの日本訪問の
体験なども踏まえた、西洋と東洋の身体観の差異を巡っての思索的なドキュメンタリー
として結実している。
* なお本作品は、「HUMAN COLLABORATION'96」の中で公開が予定されている。
(越後谷卓司)
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