アンサンブル・ゾネ

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1996年1月17日(水)〜19日(金) 18:30  愛知県芸術劇場中リハーサル室
講師: アンサンブル・ゾネ(岡登志子、ビオラ・ローガー)
体験型のダンス・ワークショップは今回で3度目となったが、これまで2度の ワークショップはいずれも一日だけの体験であり、身体の芯から体感できたとはいい難い。 そこで今回は三日間を1シリーズとして、さらに深く身体について見つめ、感じる機会を 設けた。

参加者のナビゲーターとして指導をつとめたのは、関西のダンス・グループ、 アンサンブル・ゾネ。主宰の岡登志子は、ドイツのフォルクヴァング大学に留学し、 そこで修得したメソッドの身体訓練の一部を実践しながら独自の手法で指導を行っている。 その中心となるのはルドルフ・ラバンの理念であり、岡もドイツ表現主義に多大な影響を 与えたといわれるこれらの理念の下、動きの要素である時間、空間、重力を呼吸の必然性と 共に感じとっていくことを目指している。

今回のワークショップのテーマは「動きと身体」。簡単なガイダンスの後、床に静かに 座りこみ、腕を背中に回して自分の呼吸を感じる。長く静かな時間が流れる。 自らあえて動くのではなく、動きはこの呼吸から流れ出るようにごく自然に発生する。 外から眺めていると、何をしているかわからぬほどの微細な呼吸や動きでも、自身が それを手ごたえをもって感じることがここでは重要なのである。初日には硬くなって 大人しかった参加者たちも日毎にリラックスしてきたように見える。 初めは鏡を設置していたため、参加者たちは鏡ばかり気にしていた。 そこで鏡を隠すことにすると頼りになるのはまさに自分の身体だけと、皆の集中力が 研ぎ澄まされていった。


自身の身体を感じることがこんなにも難しく、身体とはこんなにも不自由なものなのか と感じた参加者たちは、3日間の日程を終え、さらに継続的なワークショップヘの参加を 希望していた。今回のワークショップ以降、計連続5回に渡る継続的な開催を企画している。 少しずつ切り口を変えながら開催するワークショップ。参加者がどのように変化していくか、 注目していきたい。
(唐津絵理)
Photo : 南部辰雄

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