イベントーク Part 5

   「身体・音・パフォーマンス」
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愛知県芸術劇場小ホール
企画監修: 萩原朔美  制作協力: コレクタ、国立音楽大学図書館

第1回 「身体が伝える音宇宙/琵琶の試み」  1996年12月4日
出演: 徳丸吉彦(お茶の水女子大学教授)、大岡玲(小説家)、今井勉(平家琵琶)
米川裕枝(三絃)、萩原朔美(エッセイスト)
演奏曲: 平曲「横笛」

第2回 「音を身ごもった身体/ジョン・ケージの試み」  1996年12月18日
出演: 庄野進(国立音楽大学教授)、巻上公一(声)、大友良英(ターンテーブル)、萩原朔美
演奏曲: ジョン・ケージ「アリア」 「声のためのソロ2」 「ヴァリエーションズV」

第3回 「身体は音を創る/高橋悠治の試み」  1997年1月14日
出演: 高橋悠治(作曲家、ピアノ、瑟)、高田和子(唄、三絃、五絃琴、七絃楽器)、萩原朔美
演奏曲: 高橋悠治「鳥のあそび」 「夢天」 「畝火山」 「指灯明より」 「風がおもてで呼んでゐる」

イベントークは<身体>をテーマとするトーク(講演)&イベント(公演)である。 今回は「身体・音・パフォーマンス」というサブタイトルの下、<音楽の創造と伝承> という視点から身体を照らし出す3回シリーズだった。 演奏というレヴェルで音楽は身体と不可分の関係にあるが、今回はこの根源的な関わりに もう一歩踏み込もうとした。

第1回では身体による音楽の伝承について取り上げた。音楽の伝承は、楽譜とともに口伝 えや勘所の体得など身体全体を使って行われている。徳丸吉彦と大岡玲の対談による トークは、この問題について幅広い話題から楽しく解りやすく語り合うものだった。 パフォーマンスは、かつては主に盲人により伝承されてきた平家琵琶で、演奏者の今井勉は、 なかなか聴く機会の少ない曲「横笛」を45分間じっくり聴かせた。

第2回は、身体のあらゆる行為を演奏と考える音楽スタイル"パフォーマンス"に深く 関わったアメリカの作曲家、ジョン・ケージを取り上げた。 演奏者の巻上公一ならびに大友良英はロック・ミュージシャンとして知られているが、 現代音楽にも造詣が深い。今回は、顔の表情を変えて異なる声を出すなど、 クラシックの演奏家とは異なる様々に身体を使ったユニークな演奏を聴かせた。 トークの庄野進はケージの楽譜を見せて演奏曲を解説し、彼の身体観について 興味深く論じた。
  高橋悠治、高田和子


  巻上公一
第3回は、日本を代表する作曲家で近年は身体の動作から作曲を試みる高橋悠治を取り上げた。 身体、特に手や指の自然な動きを基準に音の並びを決める独自の作曲方法について、 高橋が自ら語り、演奏を行った。復元古代楽器の作曲でのパートナーである高田和子の演 奏は静かな緊張感に満ちていた。観客は、それぞれの音楽と共に、音楽と身体の関係を さらに深く知ることができた。
(藤井明子)
Photo : 南部辰雄

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