愛知芸術文化センターでは、オリジナル映像作品として制作した「T-CITY」
(93、監督:勅使川原三郎)、「トワイライツ」(94、監督:天野天街)、「KAZUO OHNO」
(95、監督:ダニエル・シュミット)などの作品を海外の映画祭や企画上映会などに
出品してきた。
特に「トワイライツ」の第41回オーバーハウゼン国際短編映画祭(95、ドイツ)での
グランプリ受賞は、様々な媒体を通じ報道され、話題となった。
この上映会は、こうした活動によって友好的な関係を結ぶに至った国内・外の施設・
団体から、実験映画、ビデオアート等の映像作品、コンテンポラリー・ダンスや
実験的な音楽などパフォーマンスの記録映像を入手し、上映する企画である。
これは、映像による芸術情報の交換プログラムというべきものであり、国内・外の
芸術の最新情報を提供することによって、この地域における芸術的環境をより豊かに
することを意図している。また、コラボレーション公演Art Arounad Projectなど自主制作の、
さらなる創作的な展開の契機となることも想定するものである。
上映プログラムは、かつてなくバラエティに富んだものとなった。
特にスーザン・ピットの「アスパラガス」(79)を含む実験アニメーションの特集や、
アレクサンドル・ソクーロフの「オリエンタル・エレジー<ロシアン・ヴァージョン>」
(96)など短編映画に対する観客の反応は良く、こうした日本ではまだ積極的に
紹介されていないジャンルの作品を上映する必要性を感じさせた。
様々な機関から出品された作品により構成された点で「アートフィルム・フェスティバル」
は、過去のテーマ上映会とは趣を異にして、映画祭的なスタイルに近い上映会であった。
観客からは継続的な開催を望む声を多く得ることができ、今後の様々な発展の可能性を
持った企画といえるだろう。
(越後谷卓司)
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ヤン・レニッツァ 「ラビリンス」 (1963)
ジェニー・カイザー「赤い本」(1995)
ティム・ウェップ「2月15日」(1995)
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