「オリジナル映像作品」は、愛知芸術文化センターが1年に1本のペースおこなっている
実験的な映像作品の自主制作プログラムです。
制作に当たっては、愛知芸術文化センター内の映像装置、施設での上映はもちろん、
館外でも上映可能なクオリティの高いものを目指しています。
これまでに制作された作品はいずれも、担当する監督の個性が反映されたユニークな
ものであり、「第41回オーバーハウゼン国際短編映画祭」(1995年、ドイツ)及び
「第44回メルボルン国際映画祭・短編部門」(1995年、オーストラリア)で
グランプリを受賞した『トワイライツ』(1994年、監督:天野天街)や、
「山形国際ドキュメンタリー映画祭 '97」の国際コンペに招待出品された『3+1』
(1997年、監督:大木裕之)など、国内・外の映画祭、企画上映会で多くの上映機会を
得ており、高い評価を受けています。
このシリーズでは、現代の思想、芸術などの領域において注目を集めている「身体」を
メインテーマに設定しており、21世紀を間近に控えた現代を反映し、
また同時代的な共感を得るような、斬新かつ独創的な作品の制作を目指しています。
シリーズ最新作となる平成9年度制作の第7弾『王様の子供』は、新進の若手映像作家・
前田真二郎が監督を担当、テーマ「身体」についての独自のコンセプトを提示するとともに、
映像表現の新たな局面を切り開くものといえるでしょう。
なお、この作品は、1998(平成10年)4月24日より開催する「第3回アートフィルム・
フェスティバル」での初公開を予定しています。
(越後谷卓司)
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身体なき王様につくられた「子供」は、
不老不死の身体と全ての言葉を与えられているらしい。
解らないことがあれば調べることが可能であるようだが、
その答が本当のことなのかは判断できない。
「全ての言葉」を知っていても「子供」には知識がないに等しい。
「子供」は、自らが生まれるまでの何世紀もの歴史を読み解いていきながら、
やがて自分をつくった王様について考えを巡らしていく。
前田真二郎
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