1998年11月17日(火) アートスペースA
講師: ロバート・アシュリー(作曲家) / デモンストレーション: ロバート・アシュリー、ジャックリン・ハンバート
特別参加: 吉原悠博(美術家)
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第3回は、アメリカを代表する作曲家、ロバート・アシュリーを取り上げた。
アシュリー氏は1960年代から一貫して言語(声)の作品を創ってきた作曲家で、
テレビを通して居間で鑑賞することを想定したオペラ「テレビ・オペラ」を確立した
ことで知られている。1994年には当劇場小ホールでも《インプルーヴメント》の公演を
行っている(主催:名古屋アメリカンセンター、協力:愛知県文化情報センター)。
講演会では、その2日まえに神奈川県立音楽堂で初演された最新作オペラ《ダスト》が
取り上げられた。
まず、《ダスト》の記録映像を流しながら、作品のコンセプト、核になるモチーフ、
そして登場人物とストーリーの紹介が行われた。ついで最初の2つのパートを
アシュリー氏とジャックリン・ハンバート氏がCDの演奏に合わせて歌った。
その後、舞台美術と映像を制作した美術家の吉原悠博氏を迎えて、アシュリー氏との
コラボレーションの様子が語られた。
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《ダスト》 公演風景 写真: 青柳聡
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アシュリー氏のオペラは通常のオペラとはずいぶん異なり、舞台はシンプルで
転換や照明の変化は一切なく、歌手は歌うというより膨大なテキストを"語る"。
彼の話も、その作品のように穏やかな抑揚とリズムをもって語られた。
最後に客席からの質疑応答を行った。
歌詞によるところが大きいこのパフォーマンスを
英語の苦手な者が理解する(あるいは楽しむ)ために、日本語字幕をつけたり、
あるいは日本語で作品を創る予定はないかなど、積極的な質問がなされた。
現代の社会生活からテーマを得て作品を創り上げるアシュリー氏の話は、同時代を
生きる聞き手の誰もにとって大変興味深い内容だった。
(藤井明子) |