「裸足の工房 - with Dance」では、「誰もが自由になるために」をキャッチ・フレーズ
として、全ての人を対象とした開かれたダンスの体験型ワークショップを行っている。
今回は、愛知県出身で、舞踏という日本独自の身体表現を学ぶところから出発し、
それをベースにしながらも、現代の日常的な風景を織り込んだ作品でコンテンポラリー・
ダンスの登竜門ともいわれるバニョレ国際振付賞を受賞した伊藤キムを招き、
ワークショップとトークを行った。
伊藤キムは、2日間とおして「からだを自由にする」ためのプログラムを行った。
その基本となるのはからだの「力を抜く」ということ。
力を抜くことによって、からだをバラバラの状態にする。
すると、からだは本来の意味で解放された自由なからだとなり、そこには自力では
できなかったような、思わぬ動きが立ち現れてくる。
上まで伸びて、力を抜いて、下まで脱力。単純な動きだが、完全に力を抜いて行うのは
至難の業である。西欧のダンスでは、重力に抵抗することが基本、だから過度な緊張が
身に付いた身体にはなおさら難しいようだ。
経験のある参加者ほど、苦戦しているようにみえた。
参加者は、初心者が多かったが、2日目の最後には、始めて体験したフリーなからだを
使って、簡単なパフォーマンスを行った。
また応募者も多く、参加者の経歴は、年齢も経験も幅の広いもので、経験のない方々の
ダンスを体験することへの関心が年々強くなっていることを感じた。
伊藤キムによるトークでは、リアルタイムで放送されているラジオを音楽として
使用した即興によるダンスを披露してくれた。
また過去に上演された2本の作品の映像を交えながら参加者から出たダンスにまつわる
様々な質問に丁寧に応えていくトークは、ダンサーに限らず、一般の参加者にも
日常の生活の中で、多くの示唆を与えてくれるものになった。
(唐津絵理)
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<ワークショップ>
1999年11月22日(月)・24日(水)
愛知県芸術劇場大リハーサル室
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<トーク&パフォーマンス>
1999年11月23日(火)
アートスペースA
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ワークショップ風景 (撮影:南部辰雄)
トーク&パフォーマンス風景
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