AAC オリジナル映像第9弾

    和田淳子監督 『ボディドロップアスファルト』
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和田淳子監督 『ボディドロップアスファルト』
企画/愛知芸術文化センター  制作/愛知県文化情報センター
監督・脚本・衣装/和田淳子  エグゼクティブ・プロデューサー/越後谷卓司
オリジナル映像作品作家選定委員/竹葉丈、とちぎあきら、平野勇治、村山匡一郎
制作主任/藤田功一  撮影・照明/白尾一博、宮下昇  編集/白尾一博  録音/小林徹哉
CG制作/高島秀夫、花岡岳  タイトルデザイン/辻川幸一郎  ヘアメイク/小野あけみ
スチール/首藤幹夫  音楽/コモエスタ八重樫  衣装協力/VIA BUS STOP

出演/ 小山田サユリ(真中エリ)、  尾木真琴(リエ)、  田中要次(東条冬樹)、 岸野雄一(ホシノ)
マチュー・マンシュ(マルヤマ)、 あがた森魚(パーティの客:若松)、 大久保賢一(同:関根)
鈴木慶一(同:野村)、 手塚眞(同:広岡)、 沼田元氣(同)、 鈴木卓爾(サラリーマン)
小代浩人(エリのおじいちゃん)、 金井勝(神様)

* 2000年、上映時間96分、カラー、サウンド、ビデオ作品

愛知芸術文化センターでは、「オリジナル映像作品」として「身体」をテーマとした 実験的な映像作品の制作を、開館以来、継続的におこなっている。

和田淳子監督『ボディドロップアスファルト』は、その最新第9弾である。 「身体」は、芸術のみならず、科学、哲学、思想などの領域においても、現在、注目を 集めているキーワードであるが、このシリーズにおいては、映像による「身体」への 思索的なアプローチが、映像表現のさらなる可能性を切り開いてきたといえよう。

監督の和田淳子は、1990年代、日本の実験映画に台頭した一群の若手女性映像作家を 代表する存在として、国内・外で多くの上映機会を得、注目を集めている。
彼女の4年ぶりの作品となる『ボディドロップアスファルト』は、引きこもり症候群や、 恋愛幻想といった今日的な主題を、和田自身の作家としての個人史に重ね合わせながら、 身体的な感覚に根ざした映像表現によって、ポップで、かつアヴァンギャルドに描き出した、 ユニークな作品となった。

監督の和田は脚本の他に衣装も担当。主人公の心理的な推移を、コスチューム・プレイ 的な衣装の変化により、身体的な変容として捉えることを試みている。
音楽はコモエスタ八重樫、撮影・照明はあがた森魚監督『港のロキシー』(1999年)などを 手掛けた白尾一博が担当。自身のバンド「スペースポンチ」でメジャー・デビューした 岸野雄一や、北野武監督『菊次郎の夏』(1999年)や大島渚監督『御法度』(1999年)など への出演経験を持つ田中要次のほか、歌手・映画監督のあがた森魚、映画評論家の 大久保賢一、「ムーンライダーズ」の鈴木慶一、『白痴』(1999年)を監督した手塚眞、 神様役として登場する日本のインディペンデント映画の第一人者・金井勝など、 個性派をそろえたキャスティングも注目を集めた。

なお、この作品は2000年4月28日、29日に、愛知芸術文化センターでの初公開の他、 「イメージフォーラム・フェスティバル2000」への招待出品などが予定されている。
(越後谷卓司)






(監督からのコメント)
思春期に誰でも夢見る恋愛幻想を実現できたとしたら、失うものもたくさんあるはず。
普通の女の子が、白馬の王子様と結婚したら、かなりのリスクを背負うはず。
でも、人気ドラマには、成就した恋愛のその後はありません。
そういったレディメイドなストーリーにも、ほころびを作ってあげないと、 リアルじゃないと思うのです。

スチール : 首藤幹夫

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