原作『こころ』のあらすじ(1914(大正3)年 『こゝろ』として発表)
私は学生時代に鎌倉で先生と知り合い、月に数度は先生を訪ねるほどになっていた。しかし先生は私と距離を置いていた。先生は毎月雑司ケ谷のKの墓へ出かけるが、その訳は話してくれない。奥さんとは仲が良いものの、夫婦の間にさえ距離を置いているように思える。他人を信用できず、自分自身さえも信用できない先生。その後、帰省した私のもとに、先生から手紙が届いた。それは先生の遺書で、先生は学生時代、美しいお嬢さんのいる自分の下宿に、親友のKを同居させたと云う。そしてお嬢さんに恋したKは自殺した。そのお嬢さんが先生の奥さんである。「私が死んだあとでも、妻が生きている以上は、あなた限りに打ち明けられた私の秘密として、すべてを腹の中にしまっておいて下さい」手紙はそう締め括られた。
◆日本演出者協会東海ブロック
日本演出者協会は、日本における唯一の専門的舞台演出家の協会として1960年に設立されました。現在の会員数は600余。愛知、岐阜、静岡、三重で構成する東海ブロックは60人の在籍です。主な活動として「演劇大学」、「日本の近代戯曲研修セミナー」、「国際交流セミナー」などを開催しています。また、当協会から名古屋のオイスターズを韓国演劇祭に派遣したり、ロシア、ポーランド、韓国の演出家を愛知に招聘したりするなど、国際活動にも取り組んでいます。
演出家プロフィール
かしやましげみつ(孤独部/劇作家・演出家・俳優)
1988年2月生まれ。愛知県刈谷市出身、名古屋市在住。演劇ユニット「孤独部」を主宰し、劇場・ライブハウス・ギャラリーなど様々な場所で精力的に活動。バンド形態による作品『中学生』、ひとり芝居連作『drawing:』をはじめ、二年間で50を越える作品を発表。2014年1月、愛知県芸術劇場小ホールでの単独公演にて、ひとり芝居『さいごのうた』を上演。さみしがりやの、ひとり好き。
菊本健郎(NEO企画/劇作家・演出家)
学生時代のアルバイトを通して舞台の面白さを知り、プロのスタッフとしてバレエ、コンサート、日舞、イベントなど各種ステージの裏方業務を経験。30歳を過ぎてから演劇にひきこまれ、舞台劇の脚本・演出を仕事の中心として今日に至る。劇団名古屋を経て、総合劇集団俳優館創立に参加。ミュージカルはじめ多くの作品に携わるが事情により退団。現在は演劇工房NEO企画主宰。名古屋演劇ペンクラブ賞、名古屋市芸術奨励賞、松原栄治・若尾正也記念演劇賞などを受賞。
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