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<スペシャル・トーク>ホフェッシュ・シェクター×上田竜也 7年ぶりの再会で蘇る「あの舞台」の記憶、そして再来日への期待 Part 2

2026.09.10

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振付家・音楽家として世界的に活動するホフェッシュ・シェクターと、ホフェッシュ・シェクター・カンパニー『Theatre of Dreams』の公演アンバサダーを務める上田竜也。
今年10月の来日に先駆け、二人がカンパニーの魅力や作品の見どころについて語りました。
二人は、2019年に上演されたPARCO presents『HOFESH SHECHTER'Sポリティカル・マザー ザ・コレオグラファーズ・カット』で協働した間柄。『ポリティカル・マザー』での協働を振り返るとともに、『Theatre of Dreams』の魅力や日本公演への期待について語り合いました。7年ぶりにオンラインでの再会を果たした二人の対話から浮かび上がる、それぞれの舞台芸術観や表現への思い。貴重なスペシャル・トークを3週にわたりお届けします。
Part 1

人生や脳内の多層性に迫る『Theatre of Dreams』

――『ポリティカル・マザー』から7年、2024年初演作『Theatre of Dreams』が10月に日本で上演されます。まずはどのようなコンセプトから生まれた作品なのか教えてください。

ホフェッシュ・シェクター ダンスの創り方というのは、非常にいろいろなところからアイデアが湧いてきて、それをまとめていくようなプロセスで説明が難しいのですが......まずはじめに、ファンタジー、つまり想像上の世界と現実のズレや緊張感といった関係性を扱いたいと考えました。さらに現実の人生も実は物語がたくさん連なって構成されているのではないか、であれば劇場の幕が上がると新しい物語が始まるように、幕を用いて人生という物語の連なりを描くことはできないか、という思いが『Theatre of Dreams』のビジュアル的なアイデアにつながっていきました。
もう1つは、舞台って脳の中を覗いているようなイメージがあって......脳の中では、いろいろな階層でさまざまなことが起こっていて、無意識のレベルに深いところへ行けば行くほど、断片的で意味を成さない物語のようなものが生まれたり、どんどんクレイジーなものになっていくと思うんです。そこにはファンタジーと現実のあいだにある何かがあるのです。そういった、脳の中で起こるいろいろなものが見え隠れするような状態を、舞台で表現できないかと思いました。

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ホフェッシュ・シェクター・カンパニー『Theatre of Dreams』Photo.Tom Visser

そんなコンセプトをベースに、音楽や振付を同時に創っていきました。思い浮かんだアイデアはノートに書き留めつつ、ビジュアルイメージや動きを思いついたらすぐにスケッチしたり、ダンサーに伝えたり。別々のレイヤーですべてが同時進行していき、最後に1つの形になっていったのです。ですから「音楽ができて、次にダンスを創って」というようなステップを踏んでいるわけではなく、イメージとしては大きい庭にいろいろな植物を好きに植えて、それらがそれぞれに大きくなって最終的に1つの庭園を構成するようなイメージです。

――それは『Theatre of Dreams』に限らず、どの作品でも同じなのでしょうか?

ホフェッシュ はい。最初は常にカオスで、カオスから秩序を立ち上げていくというようなイメージですね。

――大変な作業ですね。上田さんは今年5月に上海で『Theatre of Dreams』をご覧になったそうですが印象的だったシーンはありますか?

上田竜也 今ホフェッシュさんが言った、幕が開いたり閉まったりするところは確かに印象的で、今お話を聞いてなるほどと思いました。改めてもう一度観たいですね。あとはやっぱりダンサーの、繊細かつダイナミックな動きですね。本当に食い入るように観てしまうステージで、特にお客さんを巻き込む、ある場面が衝撃的でした。上海のお客さんはすごく盛り上がっていて、立ち上がって前方で踊っている人もいて「上海の人ってこんな感じなんだ!」と驚きました。本当に劇場がクラブ化していましたね。

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『Theatre of Dreams』上海公演会場の上海国際舞蹈中心にて。Photo.Tomomi Ito

――上田さんも踊られたのでしょうか?

上田 いえ、俺は"観る"ことに徹しました(笑)。あと静けさから一気に音が大きくなって激しくなるところが好きですね。『ポリティカル・マザー』でも感じたのですが、音圧なのか、あの音に圧倒される感じが好きです。

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『Theatre of Dreams』上海公演では本番前のリハーサルを客席で特別に見学させてもらった。Photo.Tomomi Ito

――『ポリティカル・マザー』と『Theatre of Dreams』の2作に対して、上田さんが共通して感じたことはありますか?

上田 『ポリティカル・マザー』のようにメッセージ性が強い作品も好きですが、『Theatre of Dreams』はダンサーたちの動きなど、繊細なことを覗かせてもらっている感覚で、本当に瞬きせずに観たくなるようなところがとても魅力的だと感じました。共通して感じたのは音楽との融合性。やっぱりそこがすごく好きです。

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『Theatre of Dreams』上海公演会場の上海国際舞蹈中心にて。Photo.Tomomi Ito

――『Theatre of Dreams』は2024年初演作ですが、現在までの間に作品として変容した部分や、開催地によって変わった部分があれば教えてください。

ホフェッシュ 意図的に変えたところはないのですが、『Theatre of Dreams』はダンサーにとってもミュージシャンにとっても非常に複雑な作品なので、上演のたびに出演者には作品に対する経験を深めてもらう作業をしている感じです。初演はパリで行ったのですが、最近パリで再演したら、いろいろな方が終演後に「前回からかなり変わっていたね」とコメントしてくださったんですね。「いやいや、全く何も変えてないよ」とお伝えしたんですが(笑)、そのくらい、人の印象の中で作品は変わっていくものだなと思いました。
私にとってダンス作品は美味しいワインのような感じで、熟せば熟すほど味わいが増すというか、樽の中で寝かせることで深みが増すものなんです。なので、1つ創ったら基本的にはそのまま年数が経っていくことを楽しみたいと考えています。

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ホフェッシュ・シェクター・カンパニー『Theatre of Dreams』Photo.Tom Visser

――ということは、今回の日本公演は熟成が進んだ2年もの、ということですね。

ホフェッシュ はい、すごくいいものになると思います!

取材・文:熊井玲

ヘアメイク(上田竜也):豊福浩一
スタイリング(上田竜也):野友健二 (UM)

(Part 3 は9月17日配信予定)


ホフェッシュ・シェクター・カンパニー
『Theatre of Dreams』
2026年10月16日(金)13:30開演
2026年10月17日(土)15:00開演
愛知県芸術劇場 大ホール

公演情報  https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/event/detail/20261016hofesh.html

<埼玉公演>
2026年10月23日(金)19:30開演
2026年10月24日(土)14:00開演
2026年10月25日(日)14:00開演
彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

公演情報  https://www.saf.or.jp/stages/detail/107729/