自主事業:アーカイブ

黒田育世ワークショップ&ショーイング参加者募集

 

『ラストパイ』は10年前にNoism に大変有り難い機会を頂き振付けした作品です。
その時「この作品を創る為にこれまで頑張って来た」と泣いて喜んだことを鮮明に覚えています。
その涙の意味が、レパートリーダンス公演という枠組みで、何度かこの作品を試みることで、本当の本当になるようです。
このレパートリーダンス公演とは、プロフェッショナルダンサーが踊ってくれた作品を、初演時の形そのままに、ダンス経験者以外の方を沢山含む色んなバックグラウンドの参加者の方々に、10日前後の短期間で共有し稽古し、再演の形をとってお客さまに観て頂くという冒険です。
この冒険が私にみせてくれる風景はこんな姿です。「『本当に』踊りたければ必ず踊れる。」もちろん『踊れる』先には、踊ること、踊りをみせること、踊りでみせること、沢山のことが待ち構えているのだと思います。
だけれども『ラストパイ』が、私に流させた涙は『踊りになること』を目の前に突きつけたがために溢れたものだったのだと思います。
どんなバックグラウンドであるかを吹き飛ばすみたいにして、参加者の誰しもがこの作品に勢いよく立ち向かい粉々に舞い散り『踊りになる』姿は、待ち構えている沢山の山谷をくぐり抜けるか否かよリもっともっとずっと前の、そして、ただ希望の固まりであった頃の『ダンス』だと思います。だからそれは種です。
私があの時泣いて喜んだのは、目に心に未来に突き刺さる種で、その種を、随分経った今、ここ愛知にお邪魔して、愛知の方々とこうして撒くことが出来ることが、私にとって、遥かな希望です。
今回の参加者の方々との『ラストパイ』がこれからもどこまでも、希望の固まりでありますように。

黒田育世