自主事業:人材育成

第20回AAF戯曲賞
【募集】あなたの戯曲

募集要項

 

募集内容と条件

◆あなたの考える演劇上演のためのテキストであること。
(外国語のテキストの場合は作者本人の責任による日本語翻訳を添付してください)
◆応募作品は書式自由、ただし、A4用紙 200枚程度まで。
◆既発表・既上演作品も応募できます。
(他戯曲賞での受賞歴がある作品は応募できません)
◆作品点数は一人1 点に限ります。
応募期間 2020年6月2日(火)~ 7月31日(金)必着
応募方法

下記の【提出物】を書留郵便または宅配便で送付してください(持参での受付はできません)。

 

【提出物】
・ 応募票(PDF/320KBWord/48KB
・ 表紙(作品名・応募者名を明記)
・ 作品概要(書式自由・A4用紙 1枚程度)
・ 応募作品(書式自由・A4用紙 200枚程度)

 

◆紙で応募する場合
提出物:各6部(応募作品はクリップまたは紐等で綴じる)

 

◆データで応募する場合
CD-Rに表紙・作品概要・応募作品をPDF形式で書き込んでください(Windowsで開いて文字化けが無いかご確認ください)。
応募票とCD-R、印刷見本(1部)を封筒に同封してください。 

 

【応募先・お問合せ】
〒461-8525 名古屋市東区東桜1-13-2「愛知県芸術劇場 AAF戯曲賞係」 宛
E-mail:ws2@aaf.or.jp TEL:052-971-5609(10:00-18:00)
※ 審査の内容についてはお答えできません。
※ 海外からの応募等、郵送での応募が難しい場合は上記メールアドレスにてご相談ください。
※ 6月の月曜日は電気設備点検のため休館いたします。一部ウェブサイトの閲覧やFAX 受信ができない場合があります。

審査
スケジュール

◆応募期間:2020年6月2日(火)~ 7月31日(金)

◆一次審査通過作品発表:10月上旬(当ウェブサイトにて)

◆二次審査通過作品発表:11月中旬(当ウェブサイトにて)

◆公開最終審査:2021年1月10日(日)(愛知県芸術劇場にて)

 

※二次審査終了後、公開最終審査会までに 一次・ニ次審査のレポートを劇場ウェブサイトに公開します。
※最終審査は愛知県芸術劇場にて公開審査を行い、インターネットによる生中継も行う予定です。

賞 金

◆大賞(1点)/50万円
◆特別賞(1点)/10万円

審査員

◆白神ももこ(演出家・振付家・ダンサー・「モモンガ・コンプレックス」主宰)
◆鳴海康平 (演出家・「第七劇場」代表)
◆羊屋白玉(演出家・劇作家・俳優・「指輪ホテル」芸術監督)
◆三浦基(演出家・「地点」代表)
◆やなぎみわ ( 舞台演出家・美術作家)

 

※各審査員のプロフィール・コメントは、プロフィールページをご覧ください。

応募にあたっての
注意事項

【応募作品について】
◆第三者の著作権、プライバシー権、名誉権、パブリシティ権、その他いかなる権利も侵害していないことをご確認ください。
脚色、翻案の場合は、原作者および原作品名を明記してください。他の戯曲、小説、映画、歌詞、詩歌等から引用した場合は、その作品名、曲名および引用箇所を明記してください。
◆応募作品を、①その審査のために複製し利用をすること、②当劇場が本事業を広報するための印刷物やウェブサイトに利用すること、③当劇場が本事業を記録として保存するために複製することにご了承ください。
◆二次審査を通過した作品は愛知芸術文化センター内(アートライブラリー・アートプラザ等)やウェブサイト等で公開することをご了承ください。

 

【個人情報について】
◆選考の過程で応募票に記載された氏名(ペンネーム)、年齢、在住地、略歴等を愛知芸術文化センター情報誌AACや同ウェブサイト・チラシ等に記載する場合があります。
◆審査会および授与式の写真は愛知芸術文化センター情報誌AACや同ウェブサイト、新聞等に掲載する場合があります。

 

【その他】
◆応募作品は、応募後に変更あるいは訂正・加筆することはできません。
◆選考過程に関する問合せには応じられません。
◆上記事項および応募方法に反する事実、著作権の未処理、盗作、類似等が判明した時は、受賞決定後でも失格となります。
◆提出物は返却しません。

受賞作品について

◆大賞受賞作品は、戯曲賞受賞記念冊子として印刷・配布され、戯曲賞受賞記念公演として上演されます。
・上演時期は2022 年度以降、上演場所は愛知県芸術劇場小ホールを予定しています。
・上演は愛知県芸術劇場プロデュース公演とし、演出家・出演者その他公演内容は審査員・作者と協議の上、当劇場が決定します。
・上演に際して、作者同意の上、作品を改変・翻案する場合があります。
・記念公演終了後その記録映像を作成し、愛知芸術文化センター内アートライブラリー、マルチビジョン、ウェブサイト等で放映する場合があります。

 

【著作権について】
◆受賞作の著作権は、作者に帰属します。 ただし、大賞受賞作品について、公益財団法人愛知県文化振興事業団が戯曲賞受賞記念公演を行う場合に限り、次の目的・態様で使用することを許諾していただきます。
 ① 事業団が主催する記念公演での上演
 ② 事業団が主催する記念公演に関連するワークショップ等でのテキストの使用
 ③ 事業団が戯曲を広報するための印刷物やウェブサイト等での利用
なお、①の上演料については別途協議、②・③の使用料については無償とします。また、上記の事項以外に新たな事項が生じた場合は別途協議するものとします。

 

※これまでの受賞作品・受賞記念公演の一覧は、こちらのページをご覧ください。

※これまでの受賞作品・受賞記念公演の映像は、愛知芸術文化センターアートライブラリー(同センター1階)でご覧いただけます。

主 催 愛知県芸術劇場
助 成 文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)| 独立行政法人日本芸術文化振興会

【審査員対談】応募者の皆様へ ~募集コメントに代えて~

AAF戯曲賞は2001年にスタートした愛知県芸術劇場(愛知県文化振興事業団)が主催する戯曲賞です。この戯曲賞の大きな特徴は、受賞戯曲を翌年以降に愛知県芸術劇場で上演することです。第15回(2015年)のリニューアルを機に「戯曲とは何か?」というテーマを掲げ、下読みなしで審査員全員が全応募戯曲を読む審査を行ってきました。

今年度、第20回戯曲賞の審査を担当していただくのは白神ももこさん、鳴海康平さん、羊屋白玉さん、三浦基さん、やなぎみわさん の5名です。今年は新型コロナウイルス感染症が世界的に流行している、これまでにない社会情勢の中での募集開始となります。そこで募集開始にあたり、審査員にオンラインでお集まりいただき、近況や戯曲賞に審査への思いなどのお話を伺いました。

(ウェブ上での対談は、2020年5月に行われました。状況が変わっている部分もありますが、当時のまま掲載しています。)

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司会:(愛知県芸術劇場 プロデューサー山本麦子)(以下―――):新型コロナウイルスの蔓延が世界全体に及び、社会に大きく影響を及ぼしています。舞台芸術の世界も大きな影響を受け、公演の中止や延期、劇場やスタジオの休館、クリエイションのために人が集まることさえできない状況が続いています。緊急事態宣言下で人が集まれない、という劇場にとっては危機的な状況の中、今年度の募集を始めることになります。こうした今、審査員の皆様のお考えを伺いたいと思い、オンラインミーティングにお集まりいただきました。

やなぎ:まず、今この時期に戯曲賞を行うというのは希望の光だと思います。そして応募する方々も、未曾有の事態、世の価値観が激動する日々の中で物語を紡ぎ、それを完成させて他者と共有することは覚悟が要ります。募集する側も、応募する皆さんも、選ぶ私達も、芸術と個人表現が途切れずこれからも続くことを祈りつつ取り組みます。しかし、歴史を振り返っても、どの分野でも危機の時代に名作は生まれてきました。そういう意味では、大いに楽しみです。

白神:たまたまコロナ以前、2020年2月からラジオ桃原郷(https://www.radio-togenkyo.com/ )という不定期ラジオ配信をダンサーのハラサオリさんとスタートさせていて、4〜5月は毎週やっています。それから富士見市民文化会館キラリふじみでは、3月の間、集まれないけど劇場で遊ぶ方法を考えよう、とTwitterを使った企画‘アグネス吉井ごっこ’(建物の角度に沿って立ったりする「アグネス吉井」というグループの表現を使わせてもらった遊び)を配信していました。5月からは、これまで毎月キラリ☆ふじみで行っていた「こどもステーションpuls」をオンラインではじめます(http://www.kirari-fujimi.com/view/925 )。子たちと文通から始めてみようかなと思っています。配信系に溢れているので、子どもたちと直接何がしたいかをやり取りしたいな、と。

鳴海:「第七劇場」の拠点で、三重県津市美里町にあるThéâtre de Belleville(https://theatre-de-belleville.tumblr.com/)では4月から春シーズンプログラムが始まるんですが、5月までの公演を中止しました。その代り、カンパニーの俳優と「演劇解体新書」という映像コンテンツを週1で配信をはじめました(https://www.youtube.com/user/dainanagekijo)。しばらくどこも劇場が閉じているので、次に劇場に行ったとき、もっと演劇を楽しんでもらえるように、演劇全般や演技、有名な作家などを解説しています。カンパニーのメンバーや、これまでご一緒した客演俳優さんにリモート録音してもらったりしてますよ。三浦さんのところはどうしてますか?

三浦:「地点」のアトリエ・アンダースロー(http://chiten.org/under-throw/)は今のところクローズしていて、劇団員とはオンラインでミーティングしています。ロシアでの『罪と罰』の演出予定も来シーズンに延期ということで調整しているところです。9月の新作(『君の庭』京都・豊橋・神奈川公演予定 https://natalie.mu/stage/news/377337)をオンラインでも観劇できるよう考えているところですね。

羊屋:今、札幌に住んでいます。札幌は感染者の確認が早かったし、一時は全国最多数になりましたし、今も第二波で厳しい状態です。2月末、札幌で観客席とオンライン観覧とを両方同料金に設定したダンス公演をしました。以来、東京に帰っていません。その後公演自粛が進み、3月中旬、有志たちで北海道でどれくらいの人たちが影響と損失を受けたかの調査をしました。主にダンス・演劇・音楽・美術ですが、電話やインタビューで直接話を聞き、人数は5000人を越えました。この調査に関わった有志たちが「北海道アーティスツユニオンスタディーズ」です。頭文字をとってHAUS(ハウス)と呼んでいます。生活に困難になったアーティストの緊急小口資金の窓口への付き添い、札幌の舞台芸術再開のために必要なことを知るための調査プロジェクト、大学生からも影響と損失の実態調査などに協力しています。今はHAUSとともに、活動再開の下支えの時間だと思っていますし、アートを作るためのインスピレーションは社会から授かるものだと実感しています。

―――「北海道アーティスツユニオンスタディーズ」は何がきっかけでスタートしたんですか?

羊屋:2018年にはSNS等で海外から#metoo運動が話題になり、日本でもプロデューサーと女性の舞台俳優の間に起きたセクシャルハラスメントも告発されました。この時、ある弁護士の方が両者が雇用関係になっていないと訴訟の土俵にも上がれない、というようなことを言っていて、「そうか、労働か、私は労働者だろうか?」などぐるぐる考え、東京でも考える会のグループを作り、札幌でもアーティストの労働環境を考える会、HAUSがスタートしました。ちらほらと聞こえてくる、舞台芸術界のセクシャルハラスメント、パワーハラスメント、について実際に弁護士やユニオンの方に話を聞いたりしながら学んできました。私にとっては昨年の「地点」の「俳優への不当解雇と演出家のパワーハラスメント」(当時そういう言葉がSNS上にあふれていました。)に関するあれこれがとても謎でした。法的には終わったのかもしれませんけど、とてもそういう風には思えず、というのは、根本が解決されているようには見えなかったので、直接話がしたいと思っていました。

三浦:先日、ロームシアター京都で新作の製作発表をオンラインで行いました。その様子はロームシアター京都のYoutubeチャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=huXt6D5kuIs&feature=youtu.be)にもアップされています。そのなかで「地点」の団体交渉に関して個人としての声明を読ませてもらいました。和解に至り、口外禁止条項をお互いに守る義務もあり、第三者には確かにわかりにくい点はあると思います。ひとつ補足するなら、団体交渉というのは労働者の権利で、法的に争っていたわけではありません。私自身、団体交渉は初めてだったわけですが。「地点」の場合、劇団が会社で俳優が従業員であるというかたちになっています。これが理想の形態かと言われれば、劇団のなかでもいろいろと議論はあるけれども、今のところこのようなかたちを選んでいる以上、代表としても雇用者としても社会的に様々な責任を負わねばならないということは痛感しました。

鳴海:私もカンパニーを代表する立場としては三浦さんと同じです。これまでのいろいろなカンパニーとの付き合いから考えても、確かに代表者や演出家(作家もありえる)と、カンパニーメンバーや出演者との間には権力関係が発生しやすいとは思います。ただ、それは変えなくてはいけない。少しずつでも変えていかなくてはいけない関係性だと思います。この権力関係の生まれやすさのほかにも、たとえば私の年齢くらいになってくると、作品製作に関わるメンバーの年齢も価値観も多様になってきて、当然ながら20年前と比べると変化は確実にあります。良い作品を製作し上演するというミッションをチーム全員が共有できたとしても、表現上の違いだけではなく、人との関係の取り方やつくり方、コミュニケーション上の言葉の選び方、許容できる範囲、絶対に許容できない部分、求めている言葉や態度など、権力関係以外にも個々人の間でもさまざまな価値観の違いがあり、守るべき人権の幅、対処すべき権利の種類と重要性が増してきていると思います。これはチームの代表者はもちろんのこと、チームに関わる全員が気をつけなくてはいけないことですよね。多様な価値観を示せる文化の一部である演劇の製作現場が多様な価値観を否定したり無視したりすることはできないんですが、チームにおいて何かしらのルールや倫理の共有は必要になってきます。その築き上げやすり合わせは重要ですね。実際、私自身も現場での俳優へのノートの出し方も(そもそも「ダメ出し」という言葉も使いたくなくなりました)かなり変わりました。

三浦:これまでの私の演出は基本的に俳優任せだから、せいぜい自分は「そこは右」「左」、「もう少し間をつまんで」、みたいな交通整理のような感じ……「あと30cm動いて」みたいな。なぜあと30cmかという理由の説明は割愛されることが多くて。演技をしている俳優にとって、あと30cm動かなくてはならない理由が俳優が組み立てた演技のあり方や生理感覚とは関係ないことも多いし、そこで30cm移動できるような具体的な処理は俳優に委ねられるというか。結果として30cmなんだということしか伝えられないわけです。とはいえ、今言ったのは長年いっしょにやってきた劇団での話で、外で演出するときは、そもそもの演技の組み立て方に関わる気持ちの持って行き方とか、役の心理のことを話す。劇団でも公演規模が大きくなって客演する俳優も増えてきたので「わかるでしょ」で済まなくなってきたということも痛感しています。それは演出家としてこれから変えていかないと、と思っている部分ですね。

やなぎ:個人制作では作家の決定に誰も何も言わないです。だから美術から演劇の世界に来て驚いたのは、「創作中に人と人が必死に求め合う」ことですね。演出家と俳優、俳優と音楽家、あちこちでそれが起こる。劇中のごとく舞台の外でも劇的な関係になるでしょう。命と命が激しく共鳴したり、一体化したり、ぶつかったりする。ハムレットの台詞の通り、演劇は人の世を写す鏡、その逆も真ということでしょうね。

白神:私は、ちょっと違うかもしれないのですが…小さい頃クラシックバレエを習っていて、体型やそもそもの性格などについても厳しく言われていたので、当然稽古では厳しく言われるもので、言われて頑張るものだと思って育っていました。だからか20代後半、何かを作る時はぶつかるし厳しくもなるものですが、エスカレートしすぎて「お稽古事」と「集団創作」は違うのに随分偉そうだったと思います。未熟なくせに。モモンガ・コンプレックス内でも前に私の口が悪すぎると問題にされて、それでカンパニー内でお互いが生きて来た基礎の違いや未熟な人間同士であることなどを確認し合ったんです。その後は、長年付き合っているメンバーでさえも人によって使う言葉を微妙に変えてアプローチするようになりましたし、そもそもどんなに近くで生きていても見えている世界が違うという前提での付き合い方になりました。お互いの目線に立ってみる、ということはどんなセクションにいても必要なことですが、指摘して共に考えてくれる人がいないとなかなか分からなかったりするので、毎回稽古場ではお互いが鏡だと思っています。

鳴海:今は、いろいろな局面で分断が起きている状況でもあるので、敵対や排除ではなくて、さまざまな意見や立場が互いに理解を示しながら分断を超えようとする場は必要だなと思います。戯曲賞がそういう場になっていくといいですよね。

―――これからのことを考えて話し合う場や、建設的な議論が重要ですね。

羊屋:労働組合のおじさんたちからお話を聞いていると、よく出るキーワードは「連帯」なんです。あいちトリエンナーレの時も、私は「連帯」って言葉がなんどもよぎっていたけど、海外からのアーティストも“SOLIDARITY”ってよく聞こえてて、この先、ゆっくり考えようと思っていたら、今回、舞台芸術界のみならず、例えば、私も含めて、補償を言い続ける人たちと、そんなの見苦しいという人たちといて、分断されてる、いや、分断させられている?それが悔しいし、いつの時代にも起きる思うつぼにハマりたくない。って、思ってた。でも、自信もなく、希望もなく、消極的で、罪悪感と内省に苛まれることも味わっている最中です。

―――今年の審査に向けての思いはいかがでしょうか。

やなぎ:ここ2年の審査で、息苦しさを感じている所もあって。もっといろんなジャンル、現代美術や、ダンスのほうから応募があってもいいのになという思いがあります。まだまだ可能性があると思うんですよね。

―――第15回のリニューアル時に応募条件を見直して書式自由、A4用紙に印刷できるものとしたので、ぜひ形式にこだわらず応募していただきたいですね。

やなぎ:文字でびっしり埋まった戯曲を思い浮かべると、ハードルが高く感じられるかもしれないけど、これまで全編イラストで描かれた作品や、指示書のような形もありましたし、去年の特別賞を受賞した三野新さんは、写真とテキストの作品でした。もっと柔軟に考えて幅広い方面から応募してほしいですね。

鳴海:これまでと同じように、いろいろなスタイルの作品に出会いたいですね。多様なスタイルに可能性が開かれているのが、この戯曲賞の面白いところだとも思いますね。白神さんは、昨年初めてこの戯曲賞に関わってみて、どうでしたか?

白神:今までに経験したことのない量の戯曲と、人の頭の中を一気に覗いた感じで途中自分がどこにいるのか分からなくなりました(笑)。私は少しジャンルが違うのでそういった壁を取っ払った新しい戯曲の見方ができるかも??と自分でも思っていたのですが、逆に従来の戯曲とは?というところに何度も何度も立ち返ってしまうんだな、ということも自分としては発見がありました。基礎みたいなものを習得しようとしたのかも…。今回はそこからもう一歩自分でも踏み込んで身体的に見てみたり、これからの戯曲とは?ということを俯瞰したり横にしてみたり?もう少し自由になって読んでいきたいです。

鳴海:そうですよね、下読みなしで、審査員が応募作すべて読むって、受け止める思いの量も多いし、スタイルも多種多様で大変ですけど、気づかされる部分もたくさんありますよね。白玉さんは昨年一度離れてみたことでまた違った感覚もあるかと思いますがいかがですか?

羊屋:AAF戯曲賞は、第15回のリニューアルで私が関わった年から、審査員が応募作を全て読み、最終審査は公開であるという、とても透明性の高い環境で進められてきました。だから、三浦さんと審査員を務めるなら直接話したいと思っていました。今こうやって、集まって、みんなでZOOMの小さな円卓上で話してる。とてもAAFらしいです。さっき三浦さんが、ロームシアター京都での記者発表のコメントを聞かせてくれて、謝罪のひな型風な言葉じゃなかったし、そこから話が深くなってよかったです。審査員は演出家や振付家ですし、集団製作においての権力構造みたいなことについての思いは誰もが抱えていると思う。製作現場で、演出家が一人の俳優を前にした時に鈍感になってしまうことがあること、敏感に対応したいという気持ちがあること、その矛盾について。これは、今このコロナの状況下にあろうがなかろうが、今に始まったことではなく、永久運動のようなもので、クリエーションと労働環境の両輪で前へ進めるようなことが必要なのかなと思っています。

白神:最近、コロナのこともあり、公とか、権威とかそういうものに不信感を持っている人が多いと感じることがあります。SNS等見ても強い言葉が飛び交っていて、どうしても同じ業種や国民、隣り合ってる者同士で傷つけ合ってしまう。人と直接会ってその人の生身の言葉を聞けない、聞く機会が少ないということは、辛いものがあるなと思います。そんな中、人間味がある言葉というか・・顔の見える言葉が必要とされていると思います。審査員それぞれだって人間味があると思いますし、主催者側の思いも垣間見えてもいいのかなとかも感じています。

三浦:このコロナの状況の中で、何が発信できるのか、何を発信するのか、むしろ前向きにとらえたいと思いますね。

―――新型コロナウイルスによって世界が変わったのではなく、これまで見えにくかった部分が見えてきたとも言えると思います。この状況下で先が見えないという不安もありますが、今どのような戯曲が創作されているのか、この場に届いた戯曲の審査過程でどのような議論がなされるかという期待感もあります。やなぎさんが初めにおっしゃった「希望」という言葉が心強いです。

応募してくださる作家の皆様もそれぞれ全国各地・異なる状況の中で色々な想いを込めて作品を送ってくださると思います。受け止める審査員の皆様もそれぞれ違うバックボーンをお持ちなので、今、このメンバーでテーブルを囲んで戯曲について話し合うことが未来に繋がると信じたいです。

これまでの過去の受賞戯曲一覧や一次・二次審査のレポートも以下のリンクからご覧いただけるのでどんな審査が行われているかも参考にご覧いただければと思います。皆様からのご応募お待ちしています。


AAF戯曲賞 関連リンク集

<一次・二次審査レポート>

<ステージナタリー特集記事>


審査員プロフィール

白神ももこ(演出家・振付家・ダンサー、「モモンガ・コンプレックス」主宰)

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©北川姉妹

東京都出身。自ら作・演出するモモンガ・コンプレックスでは、ダンス・パフォーマンス的グループと名づけ、ダンス的な要素を用いながら世界の端っこに焦点をあてる。モモンガ・コンプレックス以外では、F/T14『春の祭典』(美術:毛利悠子、音楽:宮内康乃)、木ノ下歌舞伎『隅田川』(共同演出:木ノ下裕一、杉原邦生)など。2017年-2018年セゾン文化財団ジュニアフェロー。2019年4月より富士見市民文化会館キラリ☆ふじみ芸術監督。

鳴海康平 (演出家・「第七劇場」代表)

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©松原豊

1979年生まれ。早稲田大学在籍中1999年、劇団を設立。これまで国内24都市、海外4ヶ国8都市(韓国・ドイツ・フランス・台湾)で作品を上演。2004年ロシア、2008年香港にて研修。2012年から1年間、ポーラ美術振興財団在外研修員としてフランスで活動。2014年、三重県津市に拠点を移し、新劇場Théâtre de Bellevilleを開設。2016年から3年間にわたりの台湾と日台国際共同プロジェクトを実施。

羊屋白玉(演出家・劇作家・俳優・「指輪ホテル」芸術監督)

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©Sakiko Nomura

劇場での公演の他、国内外の現代美術の芸術祭に招聘され、サイトスペシフィックな環境で、地域の文脈と独自の表現を絶妙に結びつけ、演劇作品を発表している。他、アジアの女性舞台芸術家たちとのコレクティブ目指す亜女会(アジア女性舞台芸術会議)代表。「東京」をテーマに、看取りや喪失や終焉に関するネガティブなテーマの取り組みをしている。ニューズウィーク日本誌で「世界が認めた日本人女性100人」に選ばれる。など。www.yubiwahotel.com

三浦基(演出家・「地点」代表)

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©Hisaki Matsumoto

1973年生まれ。99年より2年間、文化庁派遣芸術家在外研修員としてパリに滞在する。2001年帰国、「地点」の活動を本格化。05年、京都へ拠点を移す。著書に『おもしろければOKか? 現代演劇考』(五柳書院)、『やっぱり悲劇だった「わからない」演劇へのオマージュ』(岩波書店)。10年度京都府文化賞奨励賞受賞。11年度京都市芸術新人賞受賞。13年、本拠地京都にアトリエ「アンダースロー」をオープン。17年、読売演劇大賞選考委員特別賞受賞。

やなぎみわ( 舞台演出家・美術作家)

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京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。学生時代は工芸を専攻。国内外で多くの展覧会を開催。2009年第53回「ヴェネツィア・ビエンナーレ」美術展日本館代表作家。11年から本格的に演劇活動を始め、美術館や劇場で公演した後、15年『ゼロ・アワー東京ローズ最後のテープ』で北米ツアー。16年夏より台湾製の移動舞台トレーラーによる野外演劇『日輪の翼』(中上健次原作)を、熊野をはじめ各地で旅巡業している。2019-2020年、10年ぶりの美術館個展『やなぎみわ展 神話機械』が全国巡回。